快感について

快感という言葉は、多幸感という言葉と重なるでしょう。それは、幸せということでもあるでしょう。

アメリカの医師が健康診断をするとき、第一の問診項目は、「あなたは幸せですか」、だといいます。それを、快感を覚えますか、と改めたら、ズレを感じる人もあるでしょう。しかし、生理現象として、快感・多幸感・幸福感などのあいだに違いをみつけるのは困難であるに相違ありません。

一方わたしたちは、体験がなくても、麻薬が、快感をよび多幸感をよぶことを知っています。そして、麻薬の代表的なものが、≪モルヒネ≫であることを知っています。モルヒネの誘導体≪ヘロイン≫が、これより強力な麻薬であることも、多くの人の知るところでしょう。この、モルヒネによく似た物質が、わたしたちの体内で、とくに、脳と消化管でつくられるということがわかっています。これを≪オピオイドペプチド≫といって総括します。オピオイドとは、阿片(オピアム)様物質の意味、ペプチドは、アミノ酸の鎖の意味です。

オピオイドペプチドが、人体自前の麻薬であるとすると、それが合成されるような条件をつくれば、幸せになれる、ということになります。オピオイドペプチドの名前をあげると、エンドルフィン・エンケファリン・ネオエンドルフィン・ダイノルフィンなどとなります。エンドルフィンは主として脳下垂体から、エンケファリンは、主として副腎髄質や視床下部から、ネオエンドルフィン・ダイノルフィンは、主として視床下部から分泌されます。

毎日のようにジョギングをすると、やめられなくなります。これは、エンドルフィンの分泌が増えるため、と説明されます。エンドルフィンは多幸感をよぶと同時に、鎮痛作用をあらわします。この性質は、モルヒネそっくりです。エンドルフィンの名は、≪内因性モルヒネ≫を意味します。

実は、エンドルフィンやエンケファリンは、アミノ酸数100以下の小さなペプチドであって、ともに、アミノ酸数200ほどのより大きなペプチドの切れ端なのです。そして、その切れ端の仲間には、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)などもあります。一つの共通前駆タンパクから、いろいろなものがでてくることになります。

この共通前駆タンパクは、おそらくストレスと関係があるでしょう。というのは、そのペプチドから、抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンをださせるホルモンACTHが生まれるからです。ジョギングは、慣れないうちはストレスになるでしょう。ですがそれに耐えていれば、やがては多幸感として報われる、ということでしょう。

幸福への道が、オピオイドペプチドによって開かれるとするなら、積極的にストレッサーに立ち向かうのがよいのかもしれません。また、オピオイドペプチドが腸内に発見されることからすると、胃腸の調子をととのえるのも幸福への道に通じるでしょう。

快感をよぶ神経として知られているものに、ドーパミンをつくるニューロンがあります。ドーパミンの不足する病気をパーキンソン病といいます。この病気になったり、胃腸の具合が悪かったりする人は、幸せを感じないでしょう。

オピオイドペプチドが、多幸感・快感を生むのは、それがドーパミンを分泌するニューロンを刺激することからくる、というのであったらおもしろいのですが。

オピオイドペプチドもドーパミンも、タンパク質由来の物質です。タンパク質が不足の食生活では、幸福になれないということになりかねません。


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