胃もたれは万病への入口

胃は筋肉でできており、あらゆる方向に動けるように筋肉が発達しています。

しかし、胃は自分の意識で動かせないため、鍛えることができません。

胃の筋肉が弱ければ、食べ物は混ざらない。

ですから、胃の筋力が弱っている人が、胃もたれを起こすのです。

胃は、タンパク質が入ってこないと胃酸を出しません。胃酸が出るとはじめて活発に胃が動き出します。

パン、麺、ごはんや油では、胃が胃酸をたくさん出さないため、胃はあまり動かず、食べ物をすぐに十二指腸に送ってしまいます。

胃が動く回数が少ないため、このようなものばかり食べていると、胃の筋肉は痩せていきます。

タンパク質をよく食べると、胃の出口である幽門括約筋が締まり、胃酸がたくさん出て、胃は活発に動き、胃の筋肉も発達します。

胃を鍛えることは意識的にできないのですが、意識的にタンパク質を摂取することで、胃を鍛えることになります。また、タンパク質を摂取すると、胃酸がしっかりと出るようになります。

胃が丈夫な人は、 ”胃の症状がない人” ではなく、”タンパク質をしっかりと消化できる人” です。

胃液にはタンパク質を細かくするための酵素(ぺプシノーゲン)が含まれています。

胃は自動的に動きます。

”タンパク質が入って来たら胃液を出して、食べた物をかき混ぜるように動きなさい”

というプログラムで動きます。

したがって、
しっかりとタンパク質を摂っていない人は胃がうまく動いていません。

つまり、胃を活発に動かすスイッチが入らないのです。

普段、タンパク質を食べていない方が
急に沢山の肉を食べたりすると、
『肉を食べると胃もたれする』、
『油を食べると胃もたれする』、
ということになります。

胃酸は急に出てこないのです。

胃もたれは本人にとって辛いので、
当然、肉や油を避けてしまいます。

胃が働かない方は、胃が壊れているか、または錆びついているのです。

胃も動かないと、
少し出た胃液が胃に残ります。

少ししか出ない胃液でも、酸ですからそのまま胃の中にいれば悪さをします。

食べ物を食べないと、胃から腸への扉が上手く開かないので、胃液は食道の方へ少し漏れていきます。

これが逆流性食道炎です。

よくこんな時、
“胃酸の出過ぎ” といいますが、実際には、
“胃潰瘍の人は胃酸が余り出ていない”
のです。

逆に、胃酸が出過ぎの方は十二指腸潰瘍になるそうです。

ですからこのような時、
”胃酸を抑える薬” が処方されることがあります。

胃酸の出ない人に、胃酸を出なくする薬が出されているかもしれないのです。

胃酸を止めれば、逆流する胃酸は無くなりますから、確かに症状はなくなります。

しかしよく考えてみますと、食べ物は消化出来なくなります。

タンパク質がうまく消化吸収できていない方は、胃が働いていません。

胃が錆びついているからです。

胃が錆びついていると、胃酸が出ないうえに胃が動かない。

骨粗鬆症の人はタンパク質の代謝が上手くいっていない方ばかりです。

ほとんどの方の胃機能は低下しているのです。

かなりの確率で皆さんは内科にかかりつけで、またかなりの確率で胃酸を抑える薬が出されていて、しかもずっと飲み続けています。

ですからタンパク質が栄養として入っていかないのです。

そのツケは、ゆっくりと、しかし確実に、人生の最後のほうにおとずれます。

身体や内臓の筋肉は痩せ、骨は弱り、しかも動脈硬化にもなり、
つまり寝たきりになる恐れが強いのです。

ロコモティブシンドローム対策として、運動の重要性が叫ばれていますが、しっかりした栄養(特にタンパク質)摂取がなされていることが大前提です。

タンパク質が摂れていないのに運動すると、逆に筋肉は壊れるからです。(つまり、肉体労働や激しい運動で腰痛やひざ痛になる。)

『年とともに脂っこいものが苦手になった』、
などと言う方がいます。

年のせいではなさそうです。