骨粗鬆症も動脈硬化も対策は同じ

骨は、その四分の三がタンパク質

 

タンパク質の中には、構造タンパクと呼ばれるものがあります。
これは生体を形づくるもので、たとえば骨がそうです。タンパク質の名称でいえばコラーゲンに属します。骨といえば一つ覚えのようにカルシウムと答える人が多いですが、骨の容積の四分の三はコラーゲン、つまりタンパク質なのです。

カルシウムは、コラーゲンを構成するアミノ酸の一つグルタミン酸によって、骨に足場を与えられています。骨粗鬆症の対策も、カルシウムではなくてタンパク質の補給にあると考えたほうがよいです。

コラーゲンは繊維状タンパクです。三本の繊維がらせん状になって絡み合っていて、主に軟骨や腱、心臓弁や血管壁、細胞間質の材料となっています。
この絡み合いをつくるのにはビタミンCが必要です。ビタミンCが不足すると壊血病になるのは、血管壁の材料が不完全になるためです。

血管は年齢とともに老いるといいます。これは血管を構成する二つの繊維状タンパク、コラーゲンとエラスチンが老化をきたすためです。

エラスチンは、ゴムのように伸び縮みしやすい性質をもつタンパク質です。からだの構造の中で、とくに弾力を必要とするところに用いられます。ゴムの五倍という伸縮性をもつため、内部にコラーゲンがはさまって、伸びすぎて切れることを防いでいる場合が多いです。エラスチンは弾力があってよく伸びます。
これに反してコラーゲンのほうはコイルバネのようなもので、弾力は強いですが、引き伸ばすと強く抵抗するのです。

動脈を見ると、エラスチンの層とコラーゲンの層、そして環状の筋肉の層もあります。これらがきちんと働いていれば動脈硬化などは生じません。

コラーゲンにしてもエラスチンにしても代謝回転(新旧交代)という作業を怠りません。使い古しは捨てられ、あとに新しいものがとってかわります。その材料を常時摂取していれば動脈は硬化しません。

なお、エラスチンをつくる代謝には、協同因子としてビタミンB6と銅の二つが必要です。
中年を過ぎると、とかくエラスチンが減少してきます。エラスチンはエラスチック(弾性がある)なものですから、これが減ると血管は弾力性を失い硬くなり、皮膚もハリを失うわけです。