からだが硬くなる

結合組織とコラーゲンとの関係について、少し立ち入っておきます。そうしないと、コラーゲンのクロスリンクの増加が、いかに老化に関わっているかがはっきりしてこないのです。

まず、結合組織の成り立ちを見ると、コラーゲンのほかに、≪エラスチン≫と≪プロテオグリカン≫があります。エラスチンはタンパク質ですが、プロテオグリカンは糖タンパクです。プロテオグリカンは、もとは粘質多糖体とよばれ、多糖体の仲間とされてきました。ところがそれに10~15%のタンパク質が含まれていることが発見されたので、粘質多糖体とよぶのは不適当になりました。

プロテオグリカンの形は、どことなく試験管洗いのブラシに似ています。それは、タンパク質でできた一本の芯から、150本ほどの毛が生えた形であって、毛の正体は≪糖鎖≫であり、多糖体です。

プロテオグリカンのいちばんの大きな役割は水を保つことです。1グラムのものに5リットルもの水がつくといわれています。その水や無機質を除いて結合組織の組成を見ると、プロテオグリカンの割合は1~5%というところです。しかし、軟骨だけは例外であって、プロテオグリカンが有機質の40%を占め、コラーゲンとほぼ等量になっています。

結合組織は、主役がコラーゲンまたはエラスチン、脇役がプロテオグリカンということです。動脈壁の結合組織はどこよりもエラスチンに富み、抜群の弾力を発揮します。ところが、加齢とともにその量が減ってコラーゲンが増えるので、弾力が失われていきます。これは≪動脈硬化≫の一つの姿ですが、自然の自己運動であって病気ではありません。年をとってからだが硬くなるのを問題にするとき、これをとりあげる必要があるでしょう。このエラスチンからコラーゲンへの変化は低タンパク食によって促進させるだろう、と推測しています。

老化に対する挑戦(アンチエイジング)を結合組織の硬化の面からみるとすれば、タンパク質・ビタミンC・ビタミンB6・ビタミンAの補給に留意すべきということになります。タンパク質は、コラーゲン・エラスチン・プロテオグリカンのため、ビタミンCはコラーゲンのため、ビタミンB6はエラスチンのため、ビタミンAはプロテオグリカンのためです。ビタミンAなしでは糖鎖はつくれません。

年をとってからだが硬くなる現象は、筋肉において顕著です。これは、筋肉硬化とはいわれないで、コリといわれます。

コリについて、次のように考えています。筋肉を外から触ってみると、いわゆる紡錘型のものが手に触れます。このものは、平行に走る筋繊維の束になっています。その筋繊維のなかには、やはり平行に走る≪筋原繊維≫の束があります。

筋原繊維の構造を見て目につくのは、平行に≪フィラメント≫が並んでいることでしょう。細いのは≪アクチン≫、太いのは≪ミオシン≫で、どちらもタンパク質です。太い方でも髪の毛より細いです。

筋肉が収縮するとき、二種のフィラメントが互いにその隙間に滑り込みます。これを≪滑り説≫といいます。Z線のあたりからカルシウムイオンが放出されると、この滑り込みが起こるといいます。

このフィラメントはレシチンのカバーをつけています。レシチンには、潤滑剤としての役割と、フィラメントの酸化を防ぐ役割とがある、と考えます。ここに活性酸素がくると、レシチンの不飽和脂肪酸が酸化して過酸化脂質となる。その結果として、隣同士のフィラメントの間に接着部分ができる。このように接着箇所があちこちにできると、その筋肉は硬化して機能低下を起こす、それがコリではないか、と考えています。

それとともに関節の可動範囲が狭くなる。そのために、筋肉の伸縮の幅も狭くなる。この結果として、フィラメントが短縮するでしょう。

硬化した筋肉は押せば痛い。これは過酸化脂質に亀裂が生じたためでしょう。過酸化脂質はこのとき、強い≪発痛物質≫となる。年をとってからだが硬くなるのは、コラーゲンの架橋、エラスチンの減少にもよりますが、上に示すような筋肉の硬化によるところが大きい。若い人でも激しい運動をすれば筋肉が硬化します。筋肉の硬化、すなわちフィラメントの接着をほぐすのには整体やマッサージが効果的です(もちろん的確な)。

タンパク質とレシチンの補給がうまくいっている筋肉は、硬化がとれやすいです。これらの栄養素の十分な摂取は、からだが硬いという人の特徴を予防するのに効果があるはずです。

 


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