コレステロール伝説のあやまり

動脈硬化といえばコレステロールをとりあげるのが、今日の常識としていまだにはびこっています。いろいろな方面の常識が、音もなく崩れ去ったように、生理学上の常識にも、足もとの怪しくなったものが少なくありません。分子レベル、細胞レベルで、生体の機能が解明されるにつれて、古いものは清算される運命にあります。コレステロール伝説はそのたぐいです。これを最も含む食品は卵だから、卵には手を出さないと、いかにも理論に忠実であるような顔をする人に、いまだ出会います。この伝説の根拠は、動脈硬化を起こした血管壁にはコレステロールの沈着が見られる。したがって、コレステロールを摂取することは、動脈硬化につながる、という短絡的論理が、そこにはあります。

では反論しますが、コレステロールを絶対とらないようにしたら、動脈壁にそれが沈着することはないのでしょうか。

コレステロールは動物細胞の膜成分であって、植物細胞にはありません。したがって、菜食一辺倒にすれば、コレステロールを口に入れずに済むわけです。ところが、動脈硬化はベジタリアンにも見られるという事実があります。このことは、コレステロール伝説をくつがえすのに十分な根拠を与えるのではないでしょうか。

まず第一に、コレステロールが、副腎皮質ホルモン・性ホルモンなど、いわゆるステロイドホルモンの原料でもあり、ビタミンDの原料でもあって、人体にとって必須の物質であることを知っていなければなりません。そのため需要が多く、食品からとる量の2〜5倍の量を必要とします。これは、肝臓をはじめとする全細胞で絶えずつくられているものです。卵を食べればコレステロールが血中に入りますが、そのための血中コレステロールの上昇は、ほとんどないのが普通です。少なくともそこには、肝臓などにしばしの休養を与えうるというメリットがあります。

いずれにしても、欧米人よりコレステロール摂取量のはるかに少ない日本人に、動脈硬化は少ないかというと、決してそうではありません。動物実験で動脈硬化を起こさせようとすると、ウサギのような草食動物では、たちまち成功しますが、ラットのような雑食動物では、抗甲状腺ホルモンの投与など、特別な工夫を加えないかぎり成功しません。

ウサギやネズミといっしょにされては困るという人もあるでしょうが、そんな文句を言っていては、すべての動物実験か無意味になって、医学者は人体を実験台にせざるを得なくなり、人道問題が学問の行く手を阻むことになってしまいます。

 


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