ストレス対策①

・ストレスの三段階

 

セリエがストレス説を発表したのは1944年のことでした。ストレスの概念が広く社会に浸透したのは、この学説に、万人を引きつける魅力があったために違いありません。

セリエの発見は意外なところから始まりました。彼は、卵巣や胎盤の抽出液をラットに注射してみたのです。すると、実験動物たちは、意外なほどがっくりきました。これは、卵巣ホルモンの注射とは全くたちが違います。解剖してみると、副腎の肥大、胸腺などリンパ系の萎縮、胃や十二指腸の潰瘍、血液諸因子の異常が見つかりました。

これらの現象が、ほかの臓器の抽出液を注射しても、ホルマリンを注射しても、ひどい暑さにあわせても、あるいは回転ケージで疲労させても、同じようにあらわれることを、セリエは発見したのです。

ここで知られたことは、苦痛や化学物質など、外から加わった刺激があれば、その性質と無関係に、同じ性質の病変が起こる、という事実です。その当時の医学では、特定の病気には、特定の原因があるとしていました。それがくつがえったわけです。

セリエは、このような病変をストレスとし、その原因をストレッサーとしました。そして、ストレッサーが加わったときに起こる生体の反応を、三つの段階にわけました。第一期を警告期、第二期を抵抗期、第三期を消耗期としたのです。

第一期では、体温低下、白血球減少、血液濃縮、アシドーシスなどが起こります。それが致命的になることもありますが、そうでなければ、生体は、血圧、体温、血糖値などを高めてこれに抵抗します。この抵抗期には、警告期に見られた異変は解消し、すべては正常に戻っています。この段階で、本人はとくに体調の低下を自覚することなく、日常活動を平気で続行します。いわゆる「無理」が、ここで蓄積されます。さらにストレッサーが持続すると、無理が限界を超えたとき抵抗期は終わり、前述の病変があらわれ、ついには死が訪れます。

私たちの脳には、腔腸動物あたりから引き継いだ網状の神経系があります。これを網様体賦活系といいますが、この神経系は、イソギンチャクの触手が、どれか一本に物が触れればいっせいに動き出すような性質の単純さを特徴とします。ストレッサーがくると、この網様体が賦活され、ノルアドレナリンという名の神経ホルモンを分泌し、これをうけて副腎髄質はアドレナリンを分泌します。

これらのホルモンは血液に運ばれ、全身をめぐって覚醒レベルをあげる一方、脳下垂体を刺激して、副腎皮質刺激ホルモンをつくらせます。そこで副腎皮質は、コルチゾンに代表されるホルモンを分泌し、これによって、警告期に生じた異変をしずめます。

ストレッサーが攻撃の手をゆるめない場合、副腎皮質はついにバテます。そして、副腎皮質の肥大、胃の出血など、一連の病変が生じて、消耗期の病状をあらわしてきます。

 

 


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