パントテン酸の不足でどうなるか

パントテン酸の名は、どこにもある酸、というほどの意味を持っています。どこにもあるといっても、とくに大量に含む食品をあげることができます。それは、卵、豚肉、納豆、ブロッコリーなどです。
太平洋戦争中に日本軍にとらえられた米軍将兵のあいだに、パントテン酸欠乏症があらわれました。

その症状は、疲労感、居眠り、怒りっぽさ、脚痛、胃痛などです。

これは、ビタミンB1でもニコチン酸でもなおらず、パントテン酸を与えたとき、初めてなおりました。
わざわざパントテン酸欠乏食をつくってそれを食べていると、疲労感、居眠りのほか、やたらに汗をかく、食欲不振、吐き気、無酸症などがあらわれます。

パントテン酸が関わる代謝としては、性ホルモンの合成、毛の色素の合成、副腎皮質ホルモンの合成、脂肪酸の合成、アミノ酸の代謝などです。

イヌがパントテン酸欠乏食を与えられると、突然悶え死にます。このとき、肝臓に脂肪がついています。

ラットの場合には、生長が停止し、副腎皮質がいたんでいます。

ニワトリやブタの場合には、神経障害が起き、ついに死亡します。

人間の場合にもこの類いの現象が起こるとみてよいでしょう。