ビタミンAは何からとれるか

ビタミンAを含む食品として有力なものは、卵、バター、ニンジン、ホウレンソウなどです。ただし、あとの二つはカロテンという名のオレンジ色の色素です。体に入ったカロテンは、小腸壁で分解し、二分子のビタミンAとなります。これらの食品でビタミンAを補給するとなると、卵なら4個、バターなら76グラム、ニンジンなら50グラム、ホウレンソウなら80グラム、ということになります。これだけ摂っていない人は、ビタミンA欠乏症に見舞われます。

タラの肝油は昔から栄養になるとされてきました。やがてその有効成分がビタミンAであることが突き止められたのです。ビタミンAの合成品があらわれたとき、タラの肝油を大幅に駆逐しました。肝油の名のもとに売られる商品も、大部分は合成品といってよいです。ビタミンAの副作用も、合成品によって確かめられたものです。

ビタミンAの名で総括される化学物質は、立体構造上20種類ほどの異なった分子をかかえています。天然のビタミンAは、体内でその構造を変えて働きます。ビタミンAの過剰摂取の害がよくいわれますが、これが現実のものになるのは、低タンパク食の場合に限ります。

天然のビタミンAは、タラの類の魚の肝臓から抽出します。この作業で収率を上げるためには、化学物質の添加が効果的です。そうしてつくったビタミンAは、メチル基かパルミチル酸基が付加されているので、純正品に比べて活性が低いです。