ホメオスタシスということ

わたしたちは自分自身のからだを観察して、脈拍とか、呼吸数とか、体温とか、表面にあらわれる要素が、ほぼ一定の幅のなかにおさえられていることを知っています。この幅を逸脱した状態がくれば、それは「病気」ということになります。クロード=ベルナールのことばに、「生体は、外部環境が変化しても、内部環境を恒常に保つ」という卓見があります。それからのち、ウォルター=キャノンは、この事実に対して、≪ホメオスタシス≫(生体恒常性)ということばをつくりました。

わたしたちのからだは、暑さ寒さが厳しくても、水につかっても、雷が鳴っても、そのような外部環境の変化から守られていなければなりません。ということは、脳も、筋肉も、故障してはならないということです。それは、循環系も、消化系も、排出系も、呼吸系も、どんな厳しい環境におかれたときにも、正常に働かなければならない、ということです。ホメオスタシスこそは、わたしたちの精神や肉体の活動を保障する条件なのです。

血圧を飛行機の高度にたとえてみましょう。飛行機が水平飛行をすることは、血圧が一定に保たれることに相当します。飛行機が一定の高度を保つためには、下降時には上げ舵をとり、上昇時には下げ舵をとる、というような操縦が必要となります。これが自動的に行われるなら、飛行機は、自律的に一定の高度を保つことができます。血圧を一定に保つように働くホメオスタシス機構は、それとよく似ています。

血圧が上がったら、すぐにそれを下げる方法をとり、血圧が下がったら、すぐにそれを上げる方法をとる、といったシステムを、≪フィードバックシステム≫といいます。ホメオスタシスのためには、フィードバックシステムがなければならないのです。

人体のフィードバックシステムは、脳下垂体と視床によってにぎられています。脳下垂体ホルモンの指令によって、内分泌腺から放出されたホルモンが、視床下部にフィードバックするのです。

ホルモンは血液に入って全身を巡って働きをあらわします。これは時間のかかる手段であって、急場では間に合いません。そこで、ホルモン系を助け、内臓諸器官のフィードバックを敏速に行うために発達したのが、≪自律神経系≫です。

このような次第で、ホメオスタシスはホルモン系と自律神経系との二本の柱で保証されてはいますが、これを補完するものとして、これとは別に、局所的に瞬間的に作用する短命の物質≪プロスタグランジン≫のなかまがあります。これは、血液の凝固性、炎症の制御、睡眠や記憶の調節など、広範な、しかもデリケートなフィードバックを担当しています。

 

 


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