人体のフィードバック作用

すべての生物は、「個体」と「種」の保存を目的として生きています。自らを滅ぼすために存在する生命など一つもありません。

したがって体の器官や機能は、個体や種の保存という目的に合致するようにできています。これが生体の「合目的性」です。

簡単に言えば、体には病気や危険を避け、自ら健康になろうとする力があらかじめ備わっているのです。

ですから、たとえば毒を飲み込めば自然に解毒作用が働く。砂嵐が起これば、眼球を保護しようと反射的にまぶたが閉じる。強いストレスを受ければ抗ストレスホルモンが体内で作られ、ウイルスが入ってくれば対抗手段としてインターフェロンが作られる。ケロイドができれば、元どおりに皮膚を復元しようとする力が働くのです。

こうした合目的性は、一見するとマイナスに働いているように思えることもあります。たとえば長く病院のベッドの上で寝たきりの生活を送っていると、脚の筋肉が衰えてくるものです。

これは本人にとってけっしてありがたくないことですが、生物としての目的に反した結果とはいえません。使用しない筋肉に栄養を配給するのは、生体にとって無駄なことだからです。

そういう意味で、これも目的に合致した現象だといえます。無事に退院して歩行を開始すれば、再び脚の筋肉は太くなるのです。

電気工学の世界には、「フィードバック」という用語があります。
電気回路で出力の一部が入力に送り返されることによって出力が増減することで、たとえばサーモスタットのような自動制御装置に利用されている働きです。要するに、電気回路が自己調節を行なうのです。

生体の合目的的な活動は、このフィードバックと同じだといえます。
冷蔵庫の温度が上がりすぎれば、電気回路のフィードバックによって適温まで下げられる。それと同じように、火傷によって皮膚の細胞が傷つけば、人体のフィードバック作用によって新しい皮膚が作られるのです。

もちろん、体がフィードバックを行なうからといって、すべての病気や怪我が放っておいても自然に治るというわけではありません。

人間の体が自ら健康になろうとする力を持っていることを理解していれば、その力を後押しする方法を見つけ出し、治癒に必要な環境を整備することができます。

人体がフィードバックを行なうためには、エネルギーや物質が必要になります。そこでまず第一に求められるのは常にタンパク質です。
そもそも、タンパク質に相当する「プロテイン」という英語は、「第一のもの」という意味です。

したがって、人体の合目的性を第一に保証するのはタンパク質だということを、脳に刻んでおくべきでしょう。それが、分子栄養学の基本なのです。


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