信頼できるエビデンスはあるか

エビデンスにはレベルがあります。最もレベルが高いとされるものは、システマティックレビューと、ランダム化比較試験のメタアナリシスと呼ばれるものです。

システマティックレビューというのは、ある得たい情報に関する様々な文献をくまなく収集して、後述するランダム化比較試験のような質の高い研究のデータを、様々なバイアス(偏り)を最小限にするように分析を行うものです。

ランダム化比較試験というのは、コインを振って出た表裏の面で治療群と非治療群を決めて比較するようにデザインされた研究です。メタアナリシスとは、複数の研究の結果を統合し、統計的な解析により分析したものです。

その最強のエビデンスを示すと言われている、メタアナリシスとシステマティックレビューについては、2014年に9000件以上のメタアナリシスが公開され、システマティックレビューは2万8000件を超える数が公開されています。

そのような大量のメタアナリシスの中で、本当にまともで有用なものは数%とも言われています。非常に無駄に量産されているのです。もちろん、非常に有益なものもありますが、いくつかはマーケティングツールと化し、研究者やスポンサーの立場を支持し、反対意見を持つ人を除外するために使われていることもあります。

さらに、2018年9月に大きな事件が起きました。「コクラン」という非常に信頼性の高い医療情報を提供してきた国際組織があります。「営利目的や利益相反のある資金の提供を受けず、商業的・金銭的な利益からくる制限を受けることなく自由に活動を展開し、権威と信頼ある情報を生み出すこと」という考えのもとに、様々な医療についての臨床試験のほとんど全てを収集して分析し、質の高いシステマティックレビューのエビデンスを提供してきた機関です。

このコクランが発表する情報は、世界中の医師たちの治療に影響を与えています。そのコクランで、子宮頸がんのワクチンであるHPVワクチンに関するエビデンスが発表されたのですが、今までと異なり、全ての論文ではなく、約半分の論文の分析により行われたのです。

それに対し、その不完全な内容と企業との利益相反について痛烈に批判したコクランの中心的メンバーが、コクランを追放されたのです。利益相反から独立した形で活動してきたコクランが、暗に利益相反があることを認めてしまった形です。信頼できるエビデンスがどこにあるのか、非常にわかりにくくなっています。


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