国民皆保険は健康に寄与しているか

日本はご存じの通り、国民皆保険です。一見非常に便利で病院にかかりやすいようですが、裏を返せば、受益者負担という概念が希薄なため、病院の待合所が一種の井戸端と化し、なんでもないことで薬をもらいに行ったりします。自分の健康は自分で守るという責任感もないがしろになりがちです。

好きなものを好きなだけ食べ、好きなだけ体に悪いことをして病院の世話になる人がいる一方で、健康管理に気をつかい、それなりの勉強もし知識も蓄えて健康を維持し、滅多に病院の世話にならない人もいます。健康管理に気をつかっている人が、自堕落な生活をして自らの健康を省みない人の治療費を負担することが、果たして福祉と言えるのでしょうか。

もともと、ただ単に運が悪いだけで病気にかかるのではありません。そういう場合もなくはないですが、今は生活習慣病と言われるように、知識と自覚があれば、予防できる病気が多いのです。

病院の方も国民皆保険に慣れてしまっているせいか、来てくれる人は単にお客さんです。ずっと来てくれた方が良いに決まっています。例えば、コレステロールが高いといったときに、どういう生活をしたら、どういう食生活をしたら、コレステロールが下がるのか、コレステロールが高いとどうしてまずいのか、コレステロールが疾患に結びつかないようにするにはどういうことに気をつければいいのか等々といったことを、薬を出す前に、十分に説明してくれる病院があるでしょうか。

国民皆保険のもとでは、そんなことをしていたのでは、時間ばかりとられて患者の数をこなせないですし、いくら時間を取っても保険点数は同じで収入になりませんから、そんなことをしている病院は潰れるしかありません。それでコレステロールがある程度高くて、他にもリスクがあれば、すぐコレステロールを下げる薬を出す。他の生活指導を十分にされていない患者は、ずっとその薬を飲み続けるしかない。しかも酸化したコレステロールの害について何の説明もされないから、動脈硬化から縁が切れない。実は、コレステロールそのものではなく酸化したコレステロールが、動脈硬化を引き起こすわけです。コレステロールの酸化を予防しなければ、遠くない将来動脈硬化に伴う病気(脳梗塞、心筋梗塞)で入院する羽目になります。血中コレステロールの値が正常範囲にありながら、動脈硬化を進行させている例はたくさんあるのです。

どうでしょうか、国民皆保険というのは、とても進んだ先進国らしい制度のような気がしますが、国民の健康に役立っているとは、とても思えません。そういう仕組みだからこそ、支出は増える一方で、現在、日本の健康保険制度は経済的破綻をきたしています。

もともと、医療と経済とは反りが合わないのです。良医は数回の診療で治してしまいますが、腕の悪い医者ほどいつまでかかっても治せません。しかし、経済的に潤うのは、腕の悪い医者なのです。これは、保険診療を行っている歯科医院や整骨院(接骨院)も同様です。

いまの国民皆保険制度は、この矛盾を助長しています。下手な医者は要らない検査をどんどんやり、要らない薬をどんどん出して、治せないどころか、その過剰な薬の副作用で、また余計な薬を使う。一方、良医は適切な検査だけをし適切な薬だけを出し、適切な助言と診察で、1回で治してしまう。良医は国民皆保険制度の中では、飢え死にでもするしかありません。つまり、この国において良医が存在することは極めて難しいのです。


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