欲望について

生きとし生けるものすべては、自己の保存と種の保存とを約束させられています。わたしたち人間は、そのことを意識にのせることができます。サル以下の全生物は、とくにそれを意識することはないでしょう。

自己の保存、種の保存の約束は、欲望の形をとります。欲望は、意識にのぼりやすいものです。アメーバはともかく、サルともなれば、欲望は意識にのぼることでしょう。

行動の面から欲望をみたとき、それはよく≪本能≫といわれます。これを≪自己運動≫と呼んでみましょう。自己運動は、意識されようとされまいと、自己運動です。

この種の自己運動の中枢は、わたしたちの場合、視床下部にあります。視床下部は、人間にとくに発達した大脳新皮質にあるのではなく、大脳辺縁系にあります。大脳辺縁系は下等動物において発達したところの脳であるという意味において、大脳新皮質と対立します。この両者の対立矛盾のなかに、人間の生きる姿がある、といってよいでしょう。視床下部は自己運動をにぎり、大脳新皮質はコントロールシステムをにぎります。もちろんこれは、人間の話であって、下等動物の話ではありません。人間に悩みがあるのは、欲望のためといってもよいですが、この矛盾のために他なりません。下等動物には、人間の悩みに相当する悩みのあるはずはないです。悩みは最も進化した脳の特権なのです。

ある人の行為を見て、犬猫に劣る、などということがあります。まさか、人間が犬猫に劣るわけはありませんが、類似ということはあり得ます。これはすなわち、自己運動優位を意味するでしょう。人間には大脳新皮質というコントロールシステムがあり、それによって、高度な社会が組織されているのですから、犬猫に類する自己運動優位は許されがたいです。人間の場合、大脳新皮質が自己運動に加担することがあります。知能犯と呼ばれるような行為、暴走族の行為なども、これに属するでしょう。

わたしたちは欲望を意識し、これをコントロールするシステムを養わなくてはなりません。これはすなわち、大脳新皮質のシナプスの整理ということになります。

 

 


整体院&ピラティススタジオ【Reformer逗子院】
神奈川県逗子市逗子3-2-24 矢部ビル2階
☎︎
050-5884-7793