水銀にやられたらどうなるか

有機水銀中毒として有名なのは水俣病です。この症状として患者が自覚するものは、しびれ感・倦怠感・関節痛・頭痛・めまいの五つです。筋肉のぴくぴく感・寒冷感・手のこわばりなどがこれに次ぎます。

有機水銀は、まず大脳皮質に侵入して、そこのニューロンに障害を与えます。その結果、多面的な知覚障害が起こるのでしょう。やがて、脳の障害は、大脳皮質から大脳全体に波及します。それは水銀中毒からくる動脈硬化による血行障害のなせるわざとされています。

日本人は米を食べるために、欧米人より大量の水銀を蓄積しています。これは、毛髪の分析ですぐにわかります。種もみの消毒に有機水銀を使っているためです。水俣病の場合、原因物質はメチル水銀という名の有機水銀でした。これのニューロンに対する作用は、神経伝達物質アセチルコリンを異常放出して種切れに追い込む一方、アセチルコリンの再合成を阻害し、結局、神経伝達機能を喪失させる、として説明されています。アセチルコリンは副交感神経の伝達物質ですから、そのシナプスの失活は、自律神経の失調につながります。筋萎縮や筋力低下も知覚麻痺も、これによって説明されます。

ラットでの次のような実験報告があります。A群にはメチル水銀を与え、B群にはメチル水銀とセレンを与えました。体重の変化をみると、最初125グラムであったものが、A群では105グラムまで減少し、10日目には10匹が残らず死にました。ところが、B群では125〜145グラムを上下し、6匹のうち2匹が死にました。なお、A群には神経症状がでましたが、B群にはそれがでませんでした。セレンには、水銀中毒を軽減する作用があったのです。

水俣湾の近くに住むネコを解剖して調査したところ、内臓に蓄積されたセレンが90ppm、水銀が300ppmという結果がでました。この数字は異常に高いのですが、そのネコは健康でした。セレンは水銀の蓄積があると、高濃度に蓄積する、という事実がみつかったわけです。もともとセレンは、体内に蓄積しない性質のミネラルなのです。セレンには、有機水銀を無機水銀に変える作用がある、と説く人もいます。

 

 


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