痛みについて

痛みの経験のない人はいないでしょう。わたしたちは、痛みが、頭にも、歯にも、腹部にも、皮膚にも、いたるところに生じる性質のものであることを知っています。そしてまた、痛みに強い弱いのあることも知っています。

痛みの正体についての研究は、1931年、オイラーによって≪P物質≫が発見されたことから、軌道にのりました。それが、ペプチドであることが突き止められたのは、1971年のことです。このペプチドは、脳や腸管で検出されましたが、要するに神経伝達物質の一つです。これが、知覚ニューロンの軸索から放出され、脊髄のニューロンに受容されると、脳がこれを受けて≪痛覚≫を生じるのです。P物質は、脊髄・中枢神経系・末梢神経系などいろいろなニューロンに、強い興奮を誘発します。

P物質による興奮は、単に痛みばかりでなく、血管拡張作用・平滑筋収縮作用・唾液分泌促進作用・瞳孔収縮作用などをあらわしてきます。血圧降下・胃腸の不調・唾液の増加・縮瞳などが、強い痛みに伴うことが、これで説明されるでしょう。もちろんそれらは、そこにきているニューロンによるわけですから、そのニューロンには、P物質のレセプター(受容体)がなければなりません。

P物質とよく似た化学物質があって、それがこのレセプターに結合する性質をもっていれば、それがP物質の受容を阻止し、結局は、痛覚を遮断することになります。このような化学物質は、鎮痛剤として、スウェーデンですでに開発されました。

わたしたちのからだにとって、痛みは歓迎すべきものではありません。そこで、脊髄後角ニューロンに、プラス物質として働くP物質の効果を打ち消すマイナス物質として、ノルアドレナリンやセロトニンが、ここに放出されます。そして、痛みをやわらげるのです。ノルアドレナリンもセロトニンも、神経伝達物質ですが、これの分泌の多い人は、痛みの感じがうすいことになります。

激痛を止めるとき、医師は≪神経ブロック≫を行います。これは、P物質の関わるシナプスに、麻薬を注射する方法です。痛みが持続する場合は、アルコール、またはフェノール(石炭酸)を注射して、シナプスを壊してしまいます。

皮膚や内臓などに、痛みの原因になるような発痛物質が発生すると、そこの知覚ニューロンが、脊髄や交感神経節に信号を伝えます。すると、その終末ボタンからP物質が放出されます。そこで、脊髄や交感神経が興奮する、という順序です。P物質の放出される場所は、整体や鍼灸のツボに一致すると説く人もいます。≪発痛物質≫としては、P物質のほかに、アセチルコリン・セロトニン・ブラジキニン・ヒスタミンなどがあげられています。

 

 


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