アルコールは百薬の長か

昔から「酒は百薬の長」と呼ばれてきましたが、これはまさに昔の話で、今の時代にそんなことを信じる人はいません。風邪をひいたら卵酒をあおって寝ればなおるなどという種類の治療法が万能ならば、百薬の長としての座は確保されるでしょうが、そんなうまい話があるとは思えません。まあこれは、古風な酒飲みの自己弁護の口実として生きている、というところでしょう。

まず、アルコールが体内でどんな化学変化、つまり代謝をおこなうかを知っておくのが、アル中予防の道だと思います。

アルコールという魔性の物質は、人間とたいへん相性がいいとみえて、食道をおりて胃に入れば、もうそこで吸収されます。たいていの栄養物質は、小腸までおりないと吸収されないのですが、アルコールには特権があるのです。胃壁で血液にとけこんだアルコールは全身をかけめぐり、他の物質が容易に侵入できない脳細胞にまで入っていきます。そこでどんな悪事を働くかはご存知の通りです。

ところで、血中アルコールは肝臓に流れ込むと、処分が開始されます。それはまずアセトアルデヒドになり、さらにアセチルにかわります。そうはいっても終点はアセチルではなく、それはさらに複雑な手続きをへて皮下脂肪に変化するか、あるいはエネルギー化して、最終的には水と二酸化炭素になって肺や腎臓から捨てられるのです。

そんな面倒なことは聞きたくもないという方もいるでしょう。しかし、酒を飲めば、それだけの面倒をからだにかけるわけです。それを無視すれば、それなりの報いがあるというものでしょう。

なお、アセトアルデヒドは光化学スモッグに含まれる有毒ガスの一つ、二酸化炭素といえば、むかし炭酸ガスと呼ばれたものです。

晩酌やはしご酒に励むと、酒に強いからだが出来上がります。こうなったいわゆる酒豪は、酒に弱い人間を見て、肝臓機能を自慢する傾向があるようです。ところが、動物実験で調べたところによれば、酒に強くなって肝臓が強くなった例などありません。

酒に強くなったとはどういうことかと、開き直る酒豪もいるかと思います。まず第一に重要なことは、アルコールが最終物質二酸化炭素まで変化する時間が、酒に強い人も弱い人も変わらないという事実です。強い人はアセチルまでの変化が早いだけなのです。アセチルみたいな中間生成物がたまるのは交通渋滞と同じわけで、ろくなことはありません。

アセチルの害は、酪酸などを含んだアセトン体に変化して血液を酸性化することです。酒を飲んで大儀になるのはアルデヒドでなければアセトン体のせいでしょう。血液が常時酸性にいるようでは骨が脱灰してもろくなります。

また、糖尿病患者は酒を飲まなくもアセトン体をもっています。これは脂肪の不完全燃焼の結果なので、酒飲みの場合と過程は違いますが、からだの状態としては共通点をもっています。要するに、酒を飲むと糖尿病患者の気分の一面が味わえるということです。

アセチルはアセトン体に変化するばかりではなく、脂肪合成反応の戸口にいます。酒に強くなって、アセチル作りがうまくなると、肝臓に脂肪がたまってきます。こうなればいよいよ脂肪肝です。

肝臓にたまる脂肪は、からだのよその部分に貯蔵されていた脂肪の移動したものが主だといわれます。脂肪肝は病気のもとで、肝硬変や肝臓ガンの踏み台になりかねない厄介なものです。そして、その毒性をのぞく目的を果たしてくれるのはタンパク質やビタミンB2、コリン、イノシトールなどのビタミン類やレシチンです。

酒のさかなはタンパク質でなければならないのです。タンパク質やビタミンなしで酒を飲むのは、大げさにいえば自殺行為です。

アルコールはエネルギーの源泉だという常識があると思います。しかし正直なところ、酒に強くなると、アセチル化は上手でもエネルギー化は下手になります。酒に強い人も弱い人も、二酸化炭素までの変化の時間に変わりがありませんが、この事実は、酒豪でもアセチルのエネルギー化に苦しむ証拠でしょう。

酒のさかなにお米のような糖質をもってくると、それは脂肪の種になります。そうかといって、脂肪をもってくると血中脂肪値が異常に高くなって、心筋梗塞というような重大な症状を招く恐れがでてきます。

皮下脂肪を増やしたい人は食前酒も結構です。アルコールの害を最小限に食い止めたい人はタンパク質一本が賢いでしょう。いずれにしても、酒に糖質や油ものは不利と心得るべきです。酒のさかなにはタンパク質第一と考えての食生活を実行してください。

アルコールには、エタノールすなわちエチルアルコール、メタノールすなわちメチルアルコールがあって、後者がからだに悪いことをご存知かと思います。このメタノールは正常な代謝のなかでも発生するので、私たちのからだは片っ端からそれを処分していきます。ところが、エタノールが入ってくると、そっちを優先的に処分するためにメタノールが増えるのです。酒の毒はメタノールの毒だったのです。メタノール、すなわちメチルアルコールには、目の網膜の呼吸を妨げる作用があります。だからメタノールに最初にやられるのは目です。メタノールは普通の酒には含まれていませんが、ブランデーにはよく含まれています。

 


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