皮膚の異常

生体内での過酸化脂質の産生は、日光の照射をどこよりも多く受ける前額部において著しいです。この部位に沈着している過酸化脂質は、腹部におけるよりもはるかに多い。

医師リールの名を冠した「リール黒皮症」と呼ばれる皮膚病があります。この患者の過酸化脂質の量は、正常人の19倍にものぼります。この患者の顔に紫外線を照射すると、過酸化脂質が異常に発生することが、測定によって確かめられています。この事実からして、この患者には、正常な人のもつ過酸化脂質処理酵素が欠落しているのではないか、と考えられています。
「肝斑」といえば、肝臓の悪い人に特有な、目の下のシミですが、リール黒皮症患者では、この部位の過酸化脂質の異常高値がみられます。このような症状に対して、ビタミンE(d-αトコフェロール)が有効に働くことが、十分に想像できます。

皮膚は、過酸化脂質に対して敏感です。リノール酸に紫外線をあてながら酸素を吹き込むと、過酸化脂質ができます。これを一昼夜続けたのち、このものを、健康人の上腕内側にはりつけて24時間おいてみました。すると、強い炎症が起き、そこに色素の沈着をみました。よく調べたところ、表皮細胞の変性、毛細血管の透過性の亢進、ミトコンドリアの膨化などが起きていました。過酸化脂質が生体膜に障害を与えた結果です。

皮膚科領域での問題の一つに「腋臭(ワキガ)」があります。これは、患者の汗腺アポクリン腺から、特別なにおい物質が分泌される病気です。検査によれば、患者のアポクリン腺の特徴は、そこに鉄の存在することです。この鉄が触媒となって、皮脂に含まれる不飽和脂肪酸を酸化することによって、悪臭がでるもの、と考えてよいでしょう。その証拠として、患者のその部位の皮膚に含まれるビタミンE(d-αトコフェロール)の量が、正常人の三分の一に過ぎないという事実をあげることができます。腋臭もまた、ビタミンE(d-αトコフェロール)で救うことができそうなのです。このとき、ビタミンCとの併用塗布がよいです。

紫外線は、皮膚ガンの発生に関わっています。この場合、発ガン物質になるのは、コレステロールの光酸化物である、といわれています。ところが皮膚には、この光酸化物に水酸基を添加して、非発ガン物質に変える酵素があります。実験によれば、この酵素の活性が低下して、12~13週後に発ガンがみられるのです。この発ガン物質の発生は、抗酸化物質によって抑制されるはずです。事実、ビタミンE(d-αトコフェロール)、ビタミンC、グルタチオンなどの投与が皮膚ガンの発生を防ぐことが、動物実験で突き止められています。

細胞内小器官のうち、脂質含有量が特に多いのはミトコンドリアです。ここには多価不飽和脂肪酸を含む脂質が、全量の25%を占めています。このものは容易に紫外線によって過酸化脂質となります。このときミトコンドリアの形は不規則に膨潤します。紫外線の照射からくる皮膚炎は、このような生体膜の自動酸化と、そこからくる二次的反応によるものと考えられています。

 

 


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