科学的根拠に基づく医療(EBM)は信用してよいか

つい20〜30年前の日本の医療において、エビデンスという言葉は聞くこともなく、治療が行われてきました。言葉は悪いですが、医師の好きなように、経験と勘などで治療法が選択されてきたと言ってもよいです。

しかし、科学的根拠に基づく医療(EBM)という考えが世界的な流れとなり、日本でもEBMによる医療が当たり前になっています。

このEBMのもとになるデータは医学論文に記されます。その医学論文は様々な雑誌に投稿され、吟味され、チェックを受けて、問題なければ掲載されます。

医学雑誌には「インパクトファクター」というものがあります。その雑誌の影響度、引用された頻度を測る指標であり、簡単に言えば、格付けランキングのようなものです。インパクトファクターが高い雑誌に載った論文の方が、重要度が高かったり、影響力があったりすると考えられています。

しかし、インパクトファクターは雑誌そのものの評価であって、論文や研究者の評価ではありません。インパクトファクターの高い超一流雑誌として、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)』『ランセット』『ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)』『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』などがあります。

これらのインパクトファクターの高い超一流雑誌は、チェック機能である査読というものが厳しく、なかなかその雑誌に掲載される論文に採用されません。

しかし、ある事件が医療界や社会に激震を与えました。「ディオバン事件」は知っている人も多いと思います。ディオバンという血圧を下げる薬の臨床試験のデータの改ざんが発覚し、しかも、製薬会社の社員が大学の非常勤講師という肩書で、データ解析など研究に深く関与していたのです。5大学に総額11億円という寄付金も渡っていました。それらの大学が出した論文では、ディオバンが他の薬よりも脳卒中や狭心症を予防する効果があると報告していたのです。

しかも、最初にディオバンの「ウソ」の効果を発表した東京慈恵医科大学の論文は、超一流の医学雑誌の中の『ランセット』に掲載され、多くの医師の処方に影響を与えたと言われています。そして、その論文を宣伝材料にし、製薬会社は更なる販売拡大を行い、ディオバンは大ヒット商品になりました。

この事件は氷山の一角であり、現在でも製薬会社は、研究、論文に大きな影響を与えていると考えられます。


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