糖化は老化

血液検査をしたことのある方なら、「HbA1c」という項目をご存知でしょう。これは糖尿病のチェックに使われる指標で、ヘモグロビンに糖が結合したものです。ヘモグロビンはグリシンからつくられますが、これが「糖化」するとHbA1cになるのです。

糖に含まれる「カルボニル基」とアミノ酸の「アミノ基」が反応すると、アマドリ化合物というものができます。これが糖化の初期段階です。
糖化はメイラードが発見したため、「メイラード反応」とも呼ばれます。また、カルボニル基とアミノ基の反応のため、「アミノカルボニル反応」とも呼ばれます。

実はHbA1cも、アマドリ化合物の一種なのです。ヘモグロビンだけでなく、コラーゲンやリゾチーム、アルブミン、フィブリノーゲンなど生体内のタンパク質は全てが糖化を起こす可能性があり、アマドリ化合物を生成し得るのです。

アマドリ化合物はαジカルボニル化合物を生成し、最終的にAGEsを生成します。これが糖化の後期段階です。

問題なのはAGEsです。
例えばAGEsになったコラーゲンは互いに結合し合って、コラーゲンとしての弾力性が失われます。
するとケガをしやすくなったり、シワができたりします。血管のコラーゲンがそうなると、動脈硬化となったり、血栓ができやすくなったりします。
また悪玉コレステロールとよばれるLDLが糖化されると泡沫細胞となり、アテロームを形成して、やはり動脈硬化の原因となります。

さらに問題なのは、SODやカタラーゼなど、活性酸素を除去する酵素が糖化されてしまうことです。
そうなると当然、活性酸素を除去することができなくなりますし、糖化されるその過程においても活性酸素が発生してしまいます。

重要なのは、糖化は「非酵素的」に起こるということです。
つまり、糖質が多ければ多いほど、つまり血糖値が高く、またその高い時間が長ければ長いほど、糖化が起こりやすいのです。

糖尿病患者は血糖値の高い状態が長時間続くため、糖化が起こりやすく、それが糖尿病で合併症の起こる主な理由となっています。

糖化を防ぐためには、インシュリンをしっかり働かせること。また、食事からの糖質を制限することも必要であり、むしろこれが根本的な解決といっていいでしょう。

ところで、ブドウ糖などに比べると果糖は非常に酸化しやすく、また糖質の代謝経路に「ポリオール経路」というものがありますが、この経路の中間生成物である「フルクトース3リン酸」から、糖化反応の中間生成物ができてしまいます。
そのため、果糖とそれを含む砂糖は、糖化を防ぐという観点からも、できるだけ避けるようにしたいものです。

日本人の多くが罹患し、生活レベルを著しく下げる疾患として、白内障や緑内障、加齢黄斑変性があります。
これもAGEsが原因であることがわかっています。