脂質の役割と重要性

グリア細胞の膜もニューロンの膜も、その大部分が脂質です。そのために、脳の含む脂質の割合は大きく、乾燥重量の50%を占めます。その脂質のうち、いちばん多いのはコレステロール、次はリン脂質です。リン脂質のうちいちばん多いのはレシチンです。

レシチンには不飽和脂肪酸が含まれていますが、他の器官の含むレシチンの不飽和脂肪酸がリノール酸を主とするのに対し、脳の場合は、アラキドン酸やエイコサペンタエン酸を主とします。これらの脂肪酸はリノール酸と比べて不飽和の度が高いので、非常に酸化しやすいです。しかし、脳にアラキドン酸が多いという事実には、深い意味があります。局所ホルモンとも呼ばれるプロスタグランジンの材料として、脳ではアラキドン酸が主役をつとめるのです。アラキドン酸は第二系統のプロスタグランジンの材料であって、第一系統のプロスタグランジンのためのガンマリノレン酸も無視できません。

外傷・酸素欠乏・低血糖・痙攣などがあると、脳内リン脂質からアラキドン酸が遊離してきます。これが第二系統のプロスタグランジンになって、これらの異変からの被害を食い止めにかかるのでしょう。そうなると、アラキドン酸の摂取が、脳のために必要ということになります。この不飽和脂肪酸は、鶏卵などに含まれています。大豆のレシチンには、リノール酸はあってもアラキドン酸はありません。ただし、アラキドン酸は、体内でリノール酸から誘導され得ます。これがうまく行くための条件は厳しいですが。

脂質の重要性は、発育期に特に著しいです。離乳期以前の食事に脂質が不足すると、ミエリン・樹状突起・グリア細胞などの形成が阻害されるために、知能や精神状態が正常を欠く恐れがあります。

脳内脂質の半減期は、脳内タンパク質のそれの二倍程度であって、四週間前後とされていますが、栄養補給上、これは軽視できない数字です。

 

 


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