アルコール代謝ビタミン

水溶性の物質にも毒性をもつものはいくらもあります。その例はメタノール、エタノールなどのアルコールです。これは、ナイアシンと亜鉛を補酵素とするアルコール脱水素酵素の作用で水素を失ってアルデヒドになります。アルデヒドは、クレブスサイクルを阻害し、とくに網膜の呼吸を妨害する毒物です。したがって、アルデヒドは、すみやかに代謝してしまわなければなりません。これにはアルデヒド脱水素酵素が働いて、アルデヒドをアセチルに変えます。それがクレブスサイクルに入るのです。この補酵素がまたナイアシンなのです。クレブスサイクルが阻害されれば、アルコールはエネルギー源になるかわりに脂肪源になります。

ウサギを用いた実験ですが、エタノールを大量に投与して、血液を調べてみました。血中エタノール濃度は急速に上昇し、数時間高値を保ちますが、24時間後にはほぼゼロになります。これに対して血中ビタミンB1の濃度は、エタノール濃度の低下がはじまる時点から低下を開始し、12時間後に最低値を示します。その後は次第に上昇し、72時間後にようやく投与前の値にもどりました。この事実は、アルコール代謝にビタミンB1が関わっていることを証明するものです。

正常の代謝でもメタノールは発生します。そこで、この毒物を処理するアルコール代謝系は、もともと生体に備わっています。エタノールが投与されると、この系が優先的にエタノールの分解をはじめるのです。

  ◉  アルコール代謝ビタミンのリスト

→ビタミンB1、ナイアシン

  ◉  アルコール代謝ミネラルのリスト

→亜鉛