プロスタグランジンビタミン

プロスタグランジンは、プロスタグランド、すなわち「前立腺」から発見されたホルモン様物質で、局所でつくられてその場で役割をはたし、短時間で消滅します。局所ホルモンの別名があるのは、そのためです。

プロスタグランジンは不飽和脂肪酸の過酸化物であって、いわゆる「過酸化脂質」に属します。だからこそ、その寿命は短いのです。

過酸化脂質を分解する酵素は「グルタチオンペルオキシダーゼ」であって、それを構成するアミノ酸システインのイオウがセレンと置換したものが高い活性をもっています。グルタチオンペルオキシダーゼは肺に多いのでしょう。局所で分解しなかったプロスタグランジンは、血流にのって肺へいって分解されてしまいます。

セレンというミネラルは、このように、プロスタグランジンの分解に関わっているばかりでなく、これの生成にも関わっています。したがってこれは、プロスタグランジンにとっては、何よりも重要な物質ということになります。

プロスタグランジンには、リノレン酸系、アラキドン酸系、エイコサペンタエン酸系の三つの系列がありますが、それぞれに続々と新種が見つかっています。したがって、プロスタグランジンの全貌は、まだはっきりしていません。プロスタグランジンの仲間であっても、プロスタグランジンと呼ばれないものもあります。トロンボキサン・プロスタサイクリンなどがその例です。

プロスタグランジンの仲間の作用としてつきとめられたものを列挙してみましょう。

末梢循環の調節、体循環の調節、血圧の調節、肺循環の調節、心拍動の調節、気管支の収縮・拡張、消化液の分泌、腸管吸収、腸管の蠕動、腎機能の調節、電解質の調節、ホルモンの産生・分泌、視床下部脳下垂体系の制御、血糖の調節、排卵誘発、分娩誘発、体温の調節、脳機能の調節、自律神経の制御、血小板の粘着、血小板の凝集、血小板の放出、骨の吸収、細胞間質の合成、破骨細胞の形成、眼圧の調節、生体膜の透過性の調節、生体膜の流動性の調節、炎症時の血管透過性の亢進、炎症時の白血球の誘引、ガン細胞の増殖の抑制・促進、リンパ球の産生、胎児の発育、DNAの合成、老化の制御・・・。

これを見ると、正反対の作用が併記されている項目のあることに気付きます。しかしこれは、同じプロスタグランジンに相反する作用があることを意味しません。例えば、「トロンボキサン」には血小板凝集作用があるのに、「プロスタサイクリン」には血小板凝集抑制作用がある、というような関係が存在するのです。

いずれにしてもプロスタグランジンの作用は広範囲かつデリケートなので、これを医薬として利用することが盛んになりつつあります。分娩誘発剤としてのプロスタグランジンE2、F2、血管拡張剤としてのプロスタグランジンE1がその例です。なお、プロスタグランジンには、A、B、C、・・・、H、I の九種が各系統にあります。E1とあるのは、リノレン酸系のEであることを示します。E2はアラキドン酸系、E3はエイコサペンタエン酸系です。研究が進むにつれて、プロスタグランジンの医薬としての用途は拡大するに違いありません。しかしそれは、本来は体内で生理的につくられるべきものです。

プロスタグランジンは「フィクサー」として紹介されたことがあります。これは始末をつける人、というような意味であって、事件が発生した時に乗りだす性質のものです。つまり、それはフィードバックの一翼を担っています。プロスタグランジンをつくる必要が起きると生体膜を構造するリン脂質から、材料となる不飽和脂肪酸が離れます。これに、グルタチオン、キノン、チトクロームP450などが働いて、目的のプロスタグランジンをつくるのです。
キノンといえば、ビタミンEやユビキノン(コエンザイムQ)などを包括する名称です。
また、チトクロームP450はヘムを含んでいます。その生合成には、ビタミンE、ビタミンCの参加が必要です。
グルタチオンの活性は、そのアミノ酸システインのイオウがセレンと置換された時に高くなると想像されます。

以上の資料によって、プロスタグランジンに関わるビタミン・ミネラルのリストをつくると次のようになります。

 

◉ プロスタグランジンビタミンのリスト
→ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ(ユビキノン)

◉ プロスタグランジンミネラルのリスト
→セレン、鉄

 

 


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