神経ビタミン

神経系は神経細胞ニューロンから構成されています。そして、ニューロンとニューロンとのあいだは、「シナプス」と呼ばれる接点で連絡されています。シナプスにおける情報の授受は神経伝達物質によって行われます。また、ある一つのニューロンの発する情報は、「軸索」と呼ばれる長い繊維状の突起から送り出されます。この情報は電気の流れの形をとります。軸索の尾部はいくつもに枝分かれしていて、その先端に「終末ボタン」と呼ばれるふくらみがあって、それが別のニューロンとのあいだにシナプスをつくっているのです。

これらのことを考えると、神経の要求する栄養物質として必要なものが、軸索をふくむニューロン自体に関わるものと、伝達物質に関わるものとの二通りになることがわかります。しかし、これとならんで考えなければならないものとして「グリア細胞」があります。これは、レシチンなどのリン脂質をとくに大量にふくむ細胞であって、ニューロンを守り、あるいはニューロンに栄養物質を供給している特別な細胞です。このグリア細胞の要求する栄養も見逃されてはなりません。

ところで、神経伝達物質と呼ばれるものは30種ほども知られていて、その数は増えることがあっても減ることはありません。要するに、その全貌はまだ明らかにされていないのです。それにしても、知られているものの名前をあげることはできます。それは次の通りです。

① アミン系伝達物質
→アセチルコリン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミン、ビタミンB1
② アミノ酸系伝達物質
→グルタミン酸、ギャバ(ガンマアミノ酪酸)、アスパラギン酸
③ ペプチド系伝達物質
→エンケファリン、P物質、ニューロテンシン、ボンベシン、モチリン、セクレチン、エンドルフィン、キョートルフィン、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)

ペプチドとは、アミノ酸がいくつも鎖状につながった物質です。したがって、②③は、ともにタンパク質の切れはしのような物質です。

このリストのなかにギャバがあります。この神経伝達物質はアミノ酸グルタミン酸からつくられますが、この代謝にはビタミンB6が補酵素として働きます。

ビタミンが神経系といかに関わっているかの詳細は知られていませんが、その欠乏によってどんな症状が起こるかは、それぞれのビタミンについて、ある範囲で調べられています。それを次に記します。

●ビタミンB1が欠乏すると
⇒食欲不振におちいる。怒りっぽくなる。記憶力が低下する。音に過敏になる。

●ビタミンB2が欠乏すると
⇒うつ状態になる。

●ビタミンB6が欠乏すると
⇒暴力をふくむ異常行動があらわれる。

●ビタミンB12が欠乏すると
⇒集中力の低下、記憶力の減退、知覚の障害、手足のしびれなどがあらわれる。

●ナイアシンが欠乏すると
⇒いらだちや不安感が生じる。怒りっぽくなる。不眠になる。

●パントテン酸やビタミンCが欠乏すると
⇒知能が低下する。

●ビタミンH(ビオチン)が欠乏すると
⇒うつ状態や幻覚があらわれる。

ビタミンB1が欠乏すると、ニューロンのエネルギー産生が阻害されるので、神経の機能は必然的に低下します。ニューロンでは解糖が行われないので、このビタミンの欠乏は重大な影響を及ぼすのです。
ビタミンB2は、ノルアドレナリンやアセチルコリンなどの伝達物質の合成に関わっているのではないでしょうか。
ビタミンB12は、軸索をカバーする絶縁体ミエリン鞘の形成に関わっています。
パントテン酸の欠乏はニューロン実質の変性を招きます。

以上をまとめてみると次のリストができます。

 

◉ 神経ビタミンのリスト
⇒ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンH(ビオチン)、ナイアシン、パントテン酸、コリン

◉ 神経ミネラルのリスト
⇒カルシウム、ナトリウム、マグネシウム

 

カルシウムイオンは、シナプスにおける神経伝達物質の放出を受け持ち、ナトリウムイオンは活動電流の発生を受け持っています。

知的障害に対するビタミン療法の研究では、以上のビタミン・ミネラルのほかに、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ヨードが使われます。

知的障害のひどいダウン症の患者では、染色体の異常がしばしばみられます。そこで、染色体の形成に関わる葉酸がものをいうことになります。

 

 


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