肌トラブルの原因

肌トラブルでお悩みの方のご参考になるかもしれませんので、下記に書籍より一部引用します。

生物学的に考えると、原液の合成洗剤に匹敵する洗浄力を持つ化粧品が「肌に無害」とは考えられないが、ほとんどの女性は 10代後半から(?)死を迎える直前まで(?)、化粧品が合成洗剤だとは気付かず、一日も欠かさず顔に塗っているのである。  
そして、成人女性のほぼ全ては、肌のトラブル(シワ、シミ、ソバカス、開いた毛穴、ザラつき、くすみ)に悩んでいる。

一方、男性にはこのような肌のトラブルは起きていない。これは、同年齢のアラサー以上の男女のスッピンを見比べれば一目瞭然だろう。

つまり、これらの肌トラブルは、成人女性限定・特有の症状なのだ。 

しかも、肌のトラブルが起きているのは顔だけであり、腕や背中や腹部の皮膚にシミ・ソバカス・くすみなどの症状は見られないのが普通だ。
つまり、肌のトラブルは、日常的に化粧をしている部位限定なのである。毎日長時間、「ほぼ合成洗剤」を塗った状態で生活しているのに、トラブルが起きないわけがないのだ。  

もちろん、「女性ホルモンがシミ、ソバカスの原因」「原因は紫外線」との反論もあるだろうが、これについては、これらの症状が顔限定であり、体の他の部位には発生しないことから簡単に否定できる。

女性ホルモンが原因であるなら、顔面以外の皮膚にも同様の症状が現れるはずだし、また、頸部は日光に当たる部位だが、顔に見られるような皮膚トラブルが発生することはほとんどない。
要するに、女性ホルモンや紫外線は原因ではないのだ。  

逆に、「遮光クリーム +サンバイザー +マスク +サングラス +日傘 +腕カバー +手袋」で紫外線フル防御・フル装備している女性の顔は、確かに日焼けはしていないが、顔の肌は小ジワが多かったりする。

紫外線と遮光クリームの合成界面活性剤では、どちらがより有害なのだろうか。  

ここまで状況証拠が揃っていれば、「女性特有の顔の肌のトラブルの原因は、化粧品のクリーム基剤(=合成界面活性剤)」と結論付けてもいいと思うし、「化粧品と肌トラブルは無関係」と言い張る方が不自然だろう。

では、日本ではいつ頃から、化粧品の界面活性剤が、天然成分から合成界面活性剤に切り替わったのだろうか。  
これも、例によって高度経済成長期の 1968年である。

世界で初めて合成乳化剤の化粧品開発に成功したのは、ドイツのバイヤスドルフ社で、同社が 1911年に発売したのがニベア ®という製品だ。日本ではバイヤスドルフと花王の合弁会社であるニベア花王が、 1968年からニベア ®のブランドで製造販売している。これ以降、化粧品は合成界面活性剤入りのものに徐々に入れ替わったと考えられる。 

おそらくそれ以降、クリーム基剤の化粧品が増えると同時に、女性の肌トラブルも増加したと思われるが、症状としては軽微で地味で、しかも、それらは化粧で隠せたし、「シミやソバカス、肌のくすみは女性に特有のもの」と説明されれば、女性は納得せざるを得ないため、それらを隠すための化粧品は「女性の必需品」になる。 おまけに、化粧品の効果は目覚ましく、別人クラスに変身するなど朝飯前だ。

そして何より、化粧を落とさなければ美しい状態を維持できるのだから、化粧をしないという選択肢はありえないことになる。

要するに、化粧を楽しみ、化粧品を必要としているのは女性自身であろう。だから、化粧品の研究者・開発者は、女性特有の肌トラブルの原因を化粧品以外に求め、紫外線や女性ホルモンや都市環境の乾燥化などを犯人役に仕立てたのだろう。

その結果、紫外線や乾燥から肌を守る商品が求められ、化粧品メーカーは紫外線をカットする遮光クリームや保湿クリームを開発しては販売するようになったと思われる。  

一方で、遮光や保湿のための外用薬の基材はクリームが好まれ、油脂性基剤(ワセリン)は好まれない。ユーザーは「のびがよく、ベタつかない」商品を選択するからだ。だから、商品を売るためには、化粧品の基剤はクリームの一択となった。  

かくして、基剤のクリームが原因である肌トラブルを解消するために、クリーム基剤化粧品を使用する、という、喜劇なのか悲劇なのか茶番劇なのかよくわからない状況になってしまったのだ。  
かと言って、「化粧で得られる美しい容貌」を得るという行為を、女性は絶対に放棄しないだろう。だから、合成界面活性剤を顔に塗って変身するという女性特有の習慣は、これからも続き、肌トラブルも解決されないだろう。

やはりこれも、化粧品に含まれる合成界面活性剤による「地味な公害」なのである。  

合成界面活性剤による「地味な公害」のもう一つの例としては、歯磨き粉による難治性口角炎や口内炎がある。
歯磨き粉には、泡立ちを良くするために発泡剤( =合成界面活性剤)が入っているからだ。
実際、合成界面活性剤を含まない歯磨き粉(ドラッグストアやネットで購入できる)に替えただけで、口角炎や口内炎が治る患者は少なくない。とはいえ、歯磨き粉と口内粘膜の接触は、ふつう一日数回で、一回の接触時間はせいぜい数分程度なので、発生頻度は高くなく、「歯磨き粉と口内炎」の関連性に気が付く人はほとんどいないのが現状だ。

『患者よ、医者から逃げろ』より