現代医学の弱点①

医学というのは実学で、実際の役に立つべき学問です。

臨床医学というのは、実際に患者さんを診る医学のことで、内科学、外科学、整形外科学、精神医学、小児科学、産科婦人科学、救急医学などがこれにあたります。

これに対して基礎医学というのは、臨床医学の基礎になる理論を研究する学問のことで、生理学、生化学、病理学、解剖学などを指します。

これらも将来的には、臨床医学に応用され、実際に患者さんの役に立つことを目的としています。あくまで医学の目的は、実際に人間の健康に役立つことなのです。

皆さんが接するのは、内科学や外科学や救急医学などの臨床医学です。

どうでしょう、臨床医学は役に立っていますか。

救急医学のお世話になった人たちは、命拾いをしたという経験を持っているかもしれません。

これに対して、がん、脳梗塞、心筋梗塞、アレルギー(アトピーや喘息など)、糖尿病などで、医師にかかった人たちの中で、役に立ったと感じている人は少ないのではないでしょうか。

これが現代医学の弱点です。

最先端の現代アメリカ医学が、莫大な医療費を注ぎ込んでいるにもかかわらず、がんや心臓病などの慢性病を撲滅するどころか、その治療に手を焼いてきました。

1970年代半ばに、年々増大する一方の患者数と医療費に危機感を感じて、アメリカ議会がその原因の調査に乗り出しました。1977年に、アメリカでまとめられたマクガバンレポート(米上院栄養問題特別委員会による報告書)は、①ガン、心臓病、脳梗塞などの病気は、現代の間違った食生活が原因になっている、②現代医学は、薬や手術に偏りすぎ、あまりにも栄養を無視してきた、と結論づけています。

皆さんは、医師たちが栄養を無視してきたということに、びっくりされるのではないでしょうか。

ふつうの医師たちは、栄養にほとんど関心がありません。肥満や糖尿病の治療食などを除けば、栄養など病気とは関係ないと考えています。

肥満や糖尿病の治療食にしても、関心があるのは炭水化物・脂肪・タンパク質のバランスとカロリーだけです。ビタミンやミネラルなどについては、関心もないし、十分な知識もありません。この飽食の時代に、ビタミン欠乏症などあり得ないと考えていますから、患者さんを診るときには、ビタミンのことなど全く念頭に置いていません。

しかし、精神病だと診断された患者さんが、実際には潜在的ビタミン欠乏症で、ビタミンを十分補充することで直っている例があります。彼らは、薬による標準的な精神医学の治療では直りませんでした。彼らの病気の直接的な原因がビタミン欠乏だった可能性は非常に高いと言えます。

ガンや糖尿病の患者さんもかなりの率で、潜在的ビタミン欠乏になっています。彼らの病気の直接的な原因がビタミン欠乏症ではないとしても、潜在的なビタミン欠乏が長く続けば、免疫力も落ち、危険な活性酸素も防げず、ガンになる可能性があります。また、糖の代謝を助けてくれるビタミンやミネラルが不足している状態が長く続けば、インスリンを作る膵臓の負担は重くなります。このことは糖尿病の下地を作っていることになります。

体がうまく本来の働きをしていれば、そう簡単に病気になるものではありません。多少の困難に自ら立ち向かえるように人間の体は出来ています。その本来の力を発揮させずに、やたら薬に頼るという現在の医学の姿勢は、明らかに人間の本来の力を無視しています。

栄養不足はあらゆる病気への門を開いてしまいます。そのことを考えれば、病気の直接の原因がたとえビタミン欠乏ではないとしても、目の前にいる患者さんの欠乏症をまず直す事が先決ではないでしょうか。患者さんの栄養状態を改善することで、彼らの自然治癒力も回復するのではないでしょうか。