股関節の硬さの悪影響と、整体で出来ること

股関節が異常(変位・癒着)の時、痛みがないから大丈夫と考えてはなりません。多くの人はこのような状態で日常を過ごしています。下半身に凝りが起こったり、背骨を曲げたりします。これが病気のもとになります。逆にこのことが難しい股関節の異常の発見にもなります。

股関節異常の影響を列記します。

下半身が硬くなる

脚(下肢)・骨盤の周囲・腰・腹はもちろん、脊柱起立筋なども硬くなります。よく、体が硬いということが言われます。文部省の調査で「生徒の体力は向上したが、柔軟性は低下した」と報告されたことがありましたが、この柔軟性低下は股関節が悪いということです。
柔軟性を調べるには、脚を伸ばして(膝を曲げないようにして)体を前屈させ、指が足裏から下に何センチ伸びるかを測ればよいです。
長く下に伸びるほど柔軟性がよいです。悪い場合は指先が立っている床につきませんし、ひどい場合は膝の少し下で止まります。この前屈が十分出来ない人は、後ろにも反れませんし、体のねじりも充分出来ないのです。すなわち柔軟性が低下しています。
これは訓練である程度改善できますが、股関節が変化しているといくら訓練しても痛い割に効果があがりません。老齢になったら体が硬くなるということが言われますが、何才になっても指先が床につくぐらいの柔軟性は確保していたいものです。
努力してもつかないものは、股関節に異常があります。他の関節(仙腸関節)に原因することもありますが、ほとんどはこの関節ですから、必ず見て直す必要があります。これは前屈した時、後ろ側の筋肉(脊柱起立筋・大腿の後ろ側の筋)は伸展しなければならないのに、関節の異常で凝って拘縮しているからです。
変位が原因で筋・組織が自ら縮まって(凝って)いるものを、引き伸ばすのは至難のこととなるのです。これは関節の異常を直してみると、こりがとれるからどんどん伸びてきます。
例外もあります。股関節の変位などの異常が起こった当初は、腰痛などの自発痛が起こり、体を前屈させるいわゆる腰痛姿勢をとります。これは痛みを少なくする姿勢でもありますが、背筋(腰痛)の痛みを増す姿勢でもあります。
股関節が異常になった時、背部の筋(脊柱起立筋など)も前部の筋(腹筋群)も共に拘縮しています。この時、腹筋群の方が強くなるため(背骨から離れているから梃子作用のてこ長が大)前屈姿勢になります。これは腰を伸ばして姿勢を正しくするようにと言うと「腹が突っ張ってきつい」ということで判ります。この時背中の筋はぴんぴんに張っています。(この背中の筋が張っていることが腰痛を起こしています。また、椎間間隙の狭いのもこの前後の筋の引っ張り合いで起こります。)股関節を直すと、腰を伸ばして姿勢を正しくすることができるのです。もちろん股関節由来の腰痛もなおります。
この前屈姿勢が長く続くと痛みがなくなります。(お腹が膝につくほど曲がった人は腰が痛くないといいます。)その時は前屈して床に手のひらまでも届くのですが、後ろに反ることはもちろん、腰骨が当たって上を向いて寝ることもできなくなります。訓練(いつも曲がっているから)で背部の筋が伸び痛みがなくなったのです。

腰痛が起こる

これについては、①で説明した通りです。

冷えなどが起こる

腰・尻・脚の冷え・だるい・疲れやすい・こわばり(特に朝起きた時)が起きます。これはこりが血行を阻害するからですが、特に睡眠中は筋肉が動かないからミルキング作用がなくなるためです。

脚の不調・疾患が起こる

ひどい時は、坐骨神経痛・間歇性跛行症・静脈瘤などの原因になったり、それらを増悪したりします。また、大腿の筋の強い拘縮によって膝が痛むこともあります。こりが筋肉の血管を圧迫することのほかに股関節の異常で、股関節の近くを通る血管(大腿動脈)を圧迫しているということが考えられます。

他の関節に異常を起こす

骨盤(仙腸関節・尾骨・恥骨・坐骨)や腰椎との関節(腰仙関節)に変位を起こすばかりでなく、背骨全体に異常(側弯・変位)が波及します。これは股関節ばかりの影響ではなく、膝関節や足関節・その他も関係しますが、特に股関節には充分注意しなければなりません。それは、脚の力のアンバランスがこれからの関節の異常を引き起こすということです。
すでに高層ビルにたとえて説明しましたが、脚(膝関節・股関節)の異常が左右いつも同じとは限りません。むしろ左右差があるのが普通です。これは脚の長さを調べると、左右同じの人がほとんどいないことでも判ります。
股関節にしろ、膝関節にしろ、脚の一方が悪いとその脚は自律的に(自覚はなくても自律神経が)荷重を減らして生活することになります。するとその減らした分は反対の脚が担うことになりますからその脚の各関節の関節腔隙が小さくなり短くなるのです。この過負担によって今度はその脚がより悪くなることがあります。
この繰り返しが脚の関節をだんだん悪くしているようです。膝の変形症という時、一方の脚だけという例は極めて稀です。股関節でも大方は両方が悪い。しかもたいてい左右差があります。すると骨盤には左右違う力が加わることになります。
この骨盤にかかる左右差が引き起こす筋・組織の拘縮の左右差が骨盤の関節・結合を狂わすのです。

局部(股関節部)・鼠蹊部の痛みを起こす

かなり進行した状態です。変位が大きいか、高齢となって(経過年数の長期化も一因でしょう)代謝回転が衰えてくると、軟骨が脱落したり変形したりするから、痛みを自覚するようになります。

変形性股関節症・骨粗鬆症・大腿骨頸部骨折を起こしやすくなる

いずれも痛みを感じて検査を受け判りますが、関節部に充分な栄養が補給されないことが原因です。その原因は関節の変位や癒着によって、関節部に行く血管・リンパ管の圧迫が起こるからでしょう。(たとえ圧迫が一切なかったとしても、多くの現代人の血の中身には充分な栄養素が足りていないので、こちらも重大要因です。)骨折しやすくなるのは変形・骨粗鬆症のように、大腿骨頸部の骨が異常になりもろくなっていくからです。大腿骨のように大きく丈夫な骨は、正常であればなかなか折れるものではありません。

可動域が減少する

下半身の筋の凝りが起こるから当然の結果です。レントゲン検査でも難しい診断が、これをレントゲンに頼らなくても可動域を見ることによって診断が可能となります。可動域が減少するもう一つの原因に癒着があります。癒着が進行すると、屈曲・外転・旋回が著しく減少します。前かがみになれないから、しゃがみ込むことができないので靴も靴下も後ろに足をあげて履きます。

股関節の変位は非常に多いですが、自覚がなく自分は大丈夫と思っていないで調べてみることです。
早い段階で直せば、簡単であり、さきに挙げたような重篤な事態にならないばかりでなく、元気で快適な人生を送ることができ、長命が期待できます。

股関節がかたいかをセルフチェックする


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