腰痛と誤診

〜逗子・葉山・鎌倉地域の整体【Reformer逗子院】のコラム〜

腰痛とは

腰痛は一つの症状ですが、原因がわからないものは症状そのものが病名となり、腰痛症と言われます。
教科書的には、腰痛の原因は次のように分類されています。

⑴ 腰部の骨・関節および脊髄の異常によるもの。
⑵ 筋・筋膜組織の異常によるもの。
⑶ 内臓諸器官に原疾患があって、反射性に腰痛を訴えるもの。
⑷ 心因性その他によるもの等である。

原因がわかれば、その原因を取り除けば治るか、軽減してくるものです。多くの人が腰痛に苦しんでいるのは、原因がわからずその原因を取り除くことができないからです。

治らないのは⑶の原因があるからだろうと言われて、内科に見てもらっても異常がないと言う人は多いのです。そこで心因性がでてきます。

腰痛と画像診断

腰痛で病院に行くと、必ず最初に腰椎のレントゲン検査をします。腰の骨に異常がないかを診るためでしょう。異常というのは、骨折・変形・骨棘や軟骨の形成・椎間間隙の狭小(脊柱管狭窄)などです。脊髄の異常も発見できるかもしれません。それはそれで大切なことですが、腰痛の発生時の動作・急性慢性の区別なく、全部レントゲン検査というのはどうでしょう。

根底には、腰痛だから腰部(腰椎)に異常があるという思いがあります。実際、椎間板ヘルニアが原因の腰痛もあります。が、その発生率は極めて少ないものです。しかも椎間板ヘルニアになるのは、その多くはかなりの過荷重がかかった時です。

現代の生活からこのようなことは、事故や不注意以外、滅多に起こるものではありません。事実ぎっくり腰と言われる激痛を発する急性腰痛でも、そのほとんどは普通の日常生活の中で起きています。床のゴミを拾う・棚の物を取る時などです。椎間板ヘルニアなど、滅多に起こるはずがないのです。

ところが、レントゲン検査で診れば、かなりの発生率になるように写し出すのでしょう。実はここに問題があります。

椎骨は、変位(腰痛)を起こしても、これを適切な治療によって正常位に戻さないでおくと、2〜3年も経つと組織の増殖などによって動きを制限、または停止して痛みがなくなるか、軽くなってくるものです。この椎骨をレントゲンは異常と写し出すようです。

レントゲンを過信して、これのみに頼ると、過去に椎間板や椎骨に原因する腰痛があって、腰椎の整復が不完全な人が、腰椎以外の原因で再度腰痛を起こした時、レントゲンがこの過去の異常を写し出していると、それが原因であると誤診することになります。

どうしてもレントゲン検査と併せて、他の方法(触診・可動域検査)でも調べてみる必要があります。

腰痛の原因が腰椎以外であるのに、腰椎の変位・椎間板ヘルニア・椎間関節の狭窄(脊柱管狭窄)が原因と誤診して、牽引など腰椎の治療をしているものが非常に多いです。

当院へ「病院で治療していても治らないから」と整体施術に来られる方は多いですが、たいてい腰椎以外に原因があります。その原因除去をすると数回の整体施術で治るのです。

椎間板ヘルニアは治るか?

「椎間板ヘルニアが治るか」という質問がよくありますが、ほとんどの人は治ります。椎間間隙の狭窄(脊柱管狭窄)や、過去の椎骨の異常を原因と診断して治療しているから治らないのです。

椎間板ヘルニアと診断されたものの中で、本当のヘルニアは腰痛者のうちでほんのわずかです。本当に椎間板ヘルニアの場合は、かなり長期の治療を要するでしょうし、スッキリ直るとは断言できません。1〜3回で治るのは椎間板ヘルニアでないからです。

なぜ誤診するか

このように誤診が多いのは、①腰椎が腰痛の起こっている位置に最も近いこと、②腰椎のレントゲン写真が撮りやすいこと、③椎間板ヘルニアのような状態がかなり多いこと、④他の原因を知らないこと、などの理由でしょう。

③は過去の椎骨の異常も写し出すため、これが原因と誤認します。また椎間間隙の狭窄(脊柱管狭窄)も一緒に椎間板ヘルニアと考えたり、腰痛の原因と考えるようです。

④の他の原因について、実はこのほうがはるかに多いのですが、ほとんどの医師が無視して診ようともしません。ご存知ないのでしょう。

ある整形外科の先生は「筋性腰痛が圧倒的に多い。それは80%を超える」と仰っていますが、このことを端的に表しています。誰でも注意して診ればわかると思いますが、腰の筋肉がかたくなって痛いのです。
これを教科書では、[筋・筋膜・その他軟部組織の異常による腰痛=筋・筋膜・靭帯・腰神経背側枝が損傷された時]、としています。
損傷されなくても硬くなったら痛いということを知っておく必要があります。

筋性腰痛というのは、硬くなる理由がそれぞれ分けて判別できないから表現する言葉としては適切でしょう。それさえわからない人が多いのです。この筋性腰痛が多いということがわかった先生は、熱心な研究者というべきかもしれません。腰部の痛みを触診して、初めて筋性と判るのです。

この時、背骨のすぐ脇でなく2〜3cm外側だから「腰神経の背側枝・皮神経が痛む」などと言う人もありますが、筋が痛い・神経が痛いと分けて考える必要はないと思います。痛みの感覚は神経作用であり、要は痛みがとれればよいのです。

筋の拘縮→血管圧迫=血液不足→痛み物質貯溜→発痛(腰痛)です。
筋の拘縮とは、特定の筋の拘縮=特定の関節の異常なのです。

仙腸関節・股関節・腰仙関節が変位すると腰部の筋が硬くなり腰痛が起こるのですが、これだけわかっただけでは治せません。どの関節に異常があるか、異常はどのような形で起きているかがわかって初めて有効な治療ができるのです。

腰痛の原因は腰椎に問題が生じることより、腰椎以外の関節に変位が生じることの方がはるかに多いということがわかると、腰痛→レントゲン検査ということもなくなり、治療が長引き痛みが続くこともなく、急性なら数回の整体施術でほとんど治るでしょう。急性腰痛→慢性腰痛に移行する人もなくなり、慢性患者もなくなり、慢性腰痛からぎっくり腰になる人もなくなっています。

坐骨神経痛について

坐骨神経痛も腰痛も同じ原因から起こる場合も少なくありません。腰痛の原因が仙腸関節・股関節・腰仙関節の場合です。仙腸関節と股関節が変位して腰痛を起こし、坐骨神経に障害を誘発して脚が立たなくなった例があります。

坐骨神経痛は腰椎の異常で起こるとは限りません。むしろ腰痛の原因のように、骨盤や骨盤周囲の変位で起こることの方がはるかに多いのです。

腰痛の人が尻・脚のしびれ・痛み(坐骨神経痛・坐骨神経痛の前駆症状)を訴えることは多いです。この時、腰痛も痺れ・痛みも共に腰椎の異常が原因と考え、腰の牽引をしても治らないのは、腰椎以外の原因で坐骨神経経路に拘縮が起こったからです。

筋性腰痛の場合、腰部の筋が拘縮していますが、同時に臀部や骨盤内外の筋も拘縮していて、この拘縮のため、坐骨神経を養う血管に充分な血を送ることができなくなるからです。

腰痛の診断を間違うと、腰痛と坐骨神経痛も治せないという二重の間違いをおかすことになります。腰痛の治療をする神経ブロック注射が、坐骨神経痛を増強することも考えられます。

腰痛と触診

腰痛の診断には、どうしても触診を導入して、この間違いを防がなければなりません。誰でもできることです。圧して痛いところ・硬いところがあると、その位置からどこの関節が悪くなって腰痛や坐骨神経痛が起こっているかがわかるのです。

誰でもわかるこの簡単な方法は、原始的で幼稚な方法と考える社会的基盤がありますが、レントゲンで間違った診断をして長い間苦しむ(20〜30年という人もいます)のと、どちらが良いかは明らかでしょう。

腰椎が原因の腰痛もあります。この場合は、腰椎の脇・腰椎を押すと痛いです。また、背中を後ろに反らすと痛いから、この動作(姿勢)をとれません。この時も、腰椎のみに原因があるとは限りませんから、他の関節も丁寧に診断し、直して腰部の筋の拘縮がとれてから腰椎を診るとわかりやすいです。椎骨に当たると激痛がある時は骨折も考えられますから、レントゲン検査が是非必要です。

レントゲン検査でも骨折がわからないことがあります。「レントゲン検査で骨折はない。」と言ってきた方をみて「もう一度検査してもらってください。」と言って再検査したら、今度は骨折が判った方もあります。

触診はレントゲン検査をしても必要なのです。触診を怠るから腰痛の原因が判らなかったのです。


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