降圧剤(血圧降下薬)について

降圧剤の副作用

血圧は正常だと仰るかたがいます。それが、降圧剤を使ったためだと白状される場合が珍しくありません。
血圧のコントロールは薬で、というのが現代の常識ですから、これも無理のない話なのですが。降圧剤を投与するとき、継続的に使用するようにという、医師のアドバイスがあることも常識のようです。
降圧剤の服用をすすめるとき、医師が副作用の心配はないような口ぶりでいることは、一つの慣習なのでしょう。暗黙のうちに、相互に副作用を無視することに合意しているのでしょう。

医師は、高血圧による血管障害の進行をとめ、高血圧性合併症が起こらないようにすることを、至上命令とする立場をとります。その対症療法として、降圧剤の投与があります。副作用のあることを心得ていても、これは問題にしないのが建て前なのです。

すべての薬剤は、体内で分解される運命をもっていますが、解毒とよばれる「薬物代謝」そのものが、生理的負担となります。
というのは、ここにはたらく酵素チトクロームP450が、代謝過程で活性酸素を発生するからです。
一般に、薬剤は問題になる症状の改善においては合目的的であっても、トータルにみた生体の合目的性をそこなうのです。

高血圧症の患者は、余病をもっている場合が珍しくありません。この余病が、降圧剤の常用からきている可能性は、小さくないといえるでしょう。

降圧剤として最初に与えられるものは、たいてい「利尿剤」です。
これには、サイアザイド剤とフロセミド剤がありますが、前者のほうが強いといわれます。サイアザイド剤が腎不全をまねいて、死ぬことがあるといいます。

高血圧症患者が、糖尿病になるケースがあります。この半数は、サイアザイド剤が誘発した糖尿病だといわれます。
この降圧剤をやめれば、血糖値が正常値に戻るケースがあるそうです。サイアザイド剤には、心筋梗塞を誘発することがあるともいわれます。

利尿剤は、腎臓に働きかけるわけですが、腎機能を低下させるケースがあります。腎不全には至らなくても、痛風を起こす例があります。痛風は、腎機能低下による病気だからです。

降圧剤は、種類がなかなか多く、なかには「アルカロイド剤」もあります。レセルピンがその例です。
アルカロイド剤の副作用としては、鬱病があります。うっかりしていると、自殺などという事件になるといいます。これを連用して、胃潰瘍を起こすことがあります。胃が重苦しくなったら、一考を要するでしょう。

降圧剤の一つに、「ベータ遮断剤」があります。
腎臓には、交感神経の伝達を受け取るレセプターが、アルファ・ベータの二種類ありますが、このベータレセプターを遮断するのが、ベータ遮断剤です。この遮断によって、血圧が下がるのです。患者に気管支炎があるときは、これの投与を続けていると、呼吸困難に陥ります。肺炎を起こして、死ぬケースもあるといいます。風邪で咳が出るときなどには、これを使ってはならないとされています。

降圧剤には、「交感神経遮断剤」もあります。これの副作用は、性機能低下です。そういうことになっても、薬の副作用だと思わない人が多いのですが、臨床例は意外に多いそうです。

降圧剤としては、「血管拡張剤」も用いられます。これは、狭心症や心筋梗塞を誘発するおそれがあるといいます。この副作用を避けるためには、その量を減らし、利尿剤やベータ遮断剤・交感神経遮断剤を併用するのがよいといわれています。

「カルシウム拮抗剤」にも、降圧作用があります。これは、血圧を下げすぎる傾向があります。
一般に、降圧剤による血圧の下げすぎは、腎機能の低下した人や高齢者にとって危険です。脳動脈や冠動脈に硬化のある患者だと、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすいのです。両者が同時に発症する例さえあるといいます。

医師のすすめる薬で、まさかガンは起きないだろうと思うのは当然でしょう。ところが、動物実験ではありますが、降圧剤ヒドララジンには、発ガン作用のあることが報告されています。

降圧剤は、副作用の心配なしに使用できると思われがちですが、実際にはそんなことはありません。
慢性関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの、厄介な「自己免疫疾患」の原因が何であるかは、重大な問題です。これについても、抗生物質をはじめとして、降圧剤が疑わしいとされています。

降圧剤をもらうときには、その薬の名前や系統をたずねるべきでしょう。長期の使用を余儀なくされるのですから、情報をなるべくたくさん欲しいのが人情です。医師は患者の質問を喜ばない場合が多いのですが、これは、憲法の保障する「知る権利」の行使ですから、遠慮することはありません。

医師にしつこくいわれるものだから、降圧剤をもらってはきても、飲んだり飲まなかったりという、忠実でない患者は少なくありません。ことに、若い人にはこの傾向があります。
しかし、厚生省の循環器疾患基礎調査によれば、降圧剤を毎日きちんと服用しても血圧の下がらない人が、60パーセントもいるといいます。

慢性関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の原因として、降圧剤や抗生物質の連用があるとすれば、これらの病気は、いわゆる蓄積病のカテゴリーに入りそうです。
一方、このような慢性病には活性酸素が関わっていることも、今日では常識になってきています。薬剤の連用からくる、活性酸素の持続的な発生に問題があるといえます。

どんな薬剤でも、それを連用するときには、まず活性酸素対策を考えるべきです。有効な活性酸素除去剤が、症状の軽減に役立つことも知られてきています。