【この記事の概要】
「関節の痛みが取れない」「五十肩で可動域が狭くなった」。その原因は、エネルギー代謝と血流を司る「ナイアシン(ビタミンB3)」の不足かもしれません。種類によって効果が全く異なる3つのナイアシンについて、分子栄養学の視点で解説します。
変形性膝関節症、五十肩、リウマチ…。
慢性的な関節の痛みに悩む方へ、分子栄養学の世界には「カウフマン療法」と呼ばれる有名なアプローチが存在します。
1940年代、ウィリアム・カウフマン博士は、高用量の「あるビタミン」を使うことで、関節炎患者の痛みと可動域を劇的に改善させました。
そのビタミンこそが「ナイアシン(ビタミンB3)」です。
なぜビタミンが関節痛に効くのか? そして、市販されている「3種類のナイアシン」はどう使い分ければ良いのか? 当院の視点で解説します。
なぜナイアシンが関節痛に効くのか?
ナイアシンの働きは多岐にわたりますが、関節痛に関しては主に以下の2つのメカニズムが関係しています。
1. 微小血管の血流改善(「洗い流す」効果)
関節は本来、血液が届きにくい場所です。ナイアシンには毛細血管を拡張させる強力な作用があり、関節の奥深くまで血液を送り込みます。
これにより、溜まっていた「発痛物質」を洗い流し、新鮮な酸素と栄養(材料)を届けることができます。
2. 軟骨の修復と可動域の改善
カウフマン博士の研究では、ナイアシン(特にナイアシンアミド)を摂取することで、関節軟骨の修復が促され、「関節の可動域(動く範囲)」が拡大することが報告されています。
これは、ナイアシンが細胞のエネルギー(ATP)産生や、DNAの修復に関わる補酵素(NAD)の材料となるためです。
【重要】3つのナイアシンの違いと使い分け
「よし、ナイアシンを飲もう」と思った時に注意が必要なのが、その種類です。
主に以下の3タイプがあり、目的によって使い分ける必要があります。
特徴:血管を一気に拡張させるため、皮膚が赤くなりピリピリする「ナイアシンフラッシュ」が起きます。
関節へのメリット:この「フラッシュ」こそが強力な血流改善の証です。停滞していた血流を強制的に回し、痛みの物質を排出するなら最強です。ただし、慣れていないと痒みや赤みに驚くことになります。
特徴:フラッシュ(赤み)が起きないタイプです。カウフマン博士が関節炎治療にメインで使用したのはこちらです。
関節へのメリット:血流改善効果は①より穏やかですが、「関節の可動域改善」や「軟骨修復」にはこちらが適しています。刺激がないため、高用量を継続して飲みやすいのが利点です。
特徴:「イノシトール」と結合させて、体内でゆっくり吸収されるようにしたものです。フラッシュしません。
関節へのメリット:作用が非常に穏やかで持続的です。①や②が体質に合わない方には選択肢となりますが、関節痛に対する即効性やパンチ力はやや劣る印象があります。
当院のおすすめ:まずは「アミド」から
関節痛、特に五十肩や変形性関節症で「動きが悪い(固まっている)」方には、まずはフラッシュしない「② ナイアシンアミド」をおすすめすることが多いです。
一方で、冷え性がひどく、とにかく血行が悪い、あるいは「肩こりが鉄板のように硬い」という方には、あえて「① ナイアシン」でフラッシュを起こし、血流のダムを決壊させるアプローチをとることもあります(※専門的な指導のもとで行うことを推奨します)。
「構造×動き」に「栄養」を足す意味
整体で関節のアライメント(構造)を整え、ピラティスで正しい動きを学習する。
そこに、ナイアシンのような「血流と修復のブースト」がかかると、改善のスピードは段違いに早くなります。
「動かすと痛いから動かない」→「血流が悪くなる」→「さらに固まる」という悪循環を断ち切るために、栄養のアプローチを取り入れてみませんか?
自分に合うナイアシンが分からない方へ
「私の症状にはフラッシュあり?なし?」「量はどれくらい?」
分子栄養学カウンセリングでは、あなたの体質や症状に合わせて、最適な栄養素の種類と量をアドバイスいたします。