生体内でラジカルが発生するのは、不飽和脂肪酸の自動酸化によることが多いです。自動酸化とは、酵素による代謝的な酸化でないという意味です。不飽和脂肪酸と呼ばれる化学物質は、その名の通り飽和していないために、容易に酸素を受け入れます。それはすなわち、容易に自動酸化を行うという意味です。
不飽和脂肪酸が自動酸化すると、それは、それぞれに不対電子をもった二つのラジカルになります。ラジカルはその不対電子を満足させるために、他のラジカルを求めます。これが、開裂の相手である場合もありますが、そうでない場合もあります。すなわち、近くにある化合物を攻撃して、それを二つのラジカルに開裂し、それの一方と対電子をつくるのです。
攻撃された化合物は、二つのラジカルに開裂するわけですが、その一方は相手と結合し、残りの一方は相手がないのでラジカルのままです。このラジカルが、第一のラジカルのように近くの化合物を攻撃することになるので、この反応は止まるところを知りません。それを「連鎖反応」といいます。
不飽和脂肪酸が自動酸化を起こすと、近くの不飽和脂肪酸が次々とラジカル反応に巻き込まれ、そこに自動酸化が加わります。その結果、いろいろな分子構造の「過酸化脂質」ができます。それがまた、いくつか結合して重合物をつくるのです。
過酸化脂質の重合物が血中にあると、その粘度を上昇させ、血流の抵抗を増大させたり、血液の凝固を容易にしたりします。一方それは、わずかのきっかけで亀裂を生じ、活性酸素をつくるのです。
結局、過酸化脂質は毒性をもつことにもなり、様々な障害の原因となります。
これを未然に防ぐためには、不飽和脂肪酸の自動酸化を防げばよいわけです。
この役割を負うのが「抗酸化物質」です。
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