アルコールを上手に飲むには

アルカリイオン水を飲んで「これで健康になれる」と勘違いしているぐらいなら、同じ飲み物でもアルコール類のほうが体にいいでしょう。飲めない人が無理にお酒を飲むことはありませんが、さすがに昔から「百薬の長」と言われるだけあって、それなりの効用はあります。たとえば高齢者施設で年配者の食生活を調べてみると、お酒を少し嗜む人のほうが寿命が長く、対人関係も良好だといいます。

もちろん、アルコールは、タンパク質やビタミンなどと違って、生きていくためにどうしても必要なものというわけではありません。それどころか、飲み過ぎれば気持ちが悪くなって嘔吐することもあるし、ひどい場合には急性アルコール中毒で死んでしまう人だっています。アルコール依存症の増加も、深刻な問題です。

それでも人類が長くアルコールを愛飲してきたのは、一方で、それが自分たちを楽しい気持ちにさせてくれるからでしょう。
人間の脳の中には、動物としての本能をつかさどっている脳幹という部分があります。普段はそれが人間的な理性で抑えられているのですが、アルコールはその脳幹に働いて解放感を与えてくれます。いつも解放感を味わっていたのでは問題ですが、やはり理性にもたまには息抜きが必要です。ほどほどにお酒を飲んでいる人が長寿になるのも、そうやってストレスを発散しているからでしょう。
要は、健康を害さないよう上手にお酒と付き合っていけばいいわけです。
安全圏は “二” がキーワードです。ビール二本、日本酒二合、水割り二杯なら、毎日飲んでも構わないと思います。

アルコールが人体に害をもたらすのは、肝臓で代謝しきれないほどの量を飲んだときです。
農薬や添加物と同様、肝臓で処理できるなら何の問題もありません。アルコールの場合は、肝臓で第一段階の代謝が働いたときに、アセトアルデヒドという物質が発生します。これが悪酔いの原因ですが、アセトアルデヒドを水分に変えてしまう第二段階の代謝がすぐに働けば、悪酔いも二日酔いも起こりません。

この第二段階の代謝では、アセトアルデヒドを水に変える酵素が必要となります。ところが日本人を含めたアジア人の場合、その酵素を遺伝的に持っていない人が多い。だから欧米人に比べて、日本人はアルコールに弱く、飲むとすぐに顔が真っ赤になってしまう人が多いのです。

ただ、最初は非常にお酒が弱かった人でも、たとえば仕事上の必要に迫られて鍛えられていくうちに、ある程度まで飲めるようになることがあります。
これは、薬物代謝という機能が働いた結果です。酵素が不足しているためにアルコールの代謝が十分にできなくなると、本来は汚染物質や薬物などを処理するために用意されている薬物代謝が、代わりにアルコールの代謝を担当し始めます。

すると、お酒が飲めるようになったのはいいのですが、薬物代謝系の負担が大きくなってしまいます。
アルコールの代謝を担当したからといって、従来の仕事が免除されるわけではないからです。
そのまま放っておけば、やがて変調をきたすことになります。

したがって、飲めなかったアルコールが飲めるようになった場合は、重労働を押しつけられている薬物代謝系をサポートする栄養素を摂ってやらなければいけません。
とくに薬物代謝系の酵素が必要としているのは、ビタミンCとビタミンEです。

また、薬物代謝を行うときは活性酸素が発生するため、活性酸素除去物質も十分に摂る必要があります。
酒飲みに肝硬変が多いのも、この活性酸素のせいです。アルコールがダイレクトに肝硬変を引き起こすのではありません。活性酸素さえきちんと退治するようにしていれば、お酒そのものは決して怖くないのです。

それから、一度に大量のアルコールを飲むと、代謝のためにナイアシンというビタミンが大量に消費されます。これはアルコールの代謝だけに使われるビタミンではなく、多くの持ち場があるため、他のエネルギー作りをはじめとする代謝がスムーズに行われなくなるわけです。

ですからお酒を飲むときは、ナイアシンを含んだつまみを一緒に食べたほうがよいです。代表的なのは、豚肉、かつお節、豆類、チーズなどの食品です。いずれも、よくつまみとして並んでいるものです。先人たちの経験に基づく知恵というのは、けっして侮れません。ナイアシンのことなど知らなくても、昔から人間は理に適ったものをアルコールと一緒に食べてきたのです。

 

 


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