循環に対する考え方

人体の細胞は、血液やリンパなどの体液の循環によって、安定した環境を与えられています。そして、細胞内の物質代謝がさかんになれば、栄養物質の補給と代謝産生物の処分との必要から、血液の循環がはやめられます。このとき、代謝産生物である二酸化炭素の血中濃度が高まり、それが延髄を刺激して、心臓の拍動を強め、収縮の周期を縮めて、循環をさかんにするのです。

物質代謝が激しければ、血液中の酸素の消費も激しくなるので、呼吸もはやめなければなりません。この呼吸中枢における調節も、二酸化炭素の血中濃度が高まることによって行われます。

水道管のなかの水の流れが、水圧の高い所から低い所へ流れるのと同じく、血液は血圧の高い所から低い所へ流れます。すなわち、大動脈から大静脈に向かって、血圧は次第に下がっているわけです。

大循環系の血圧分布を見ると、大動脈で150mgHgの圧力があっても、毛細血管では30mgHg程度に下がり、大静脈ではほとんど0になっています。したがって、静脈血を流す力はほとんど残っていないわけです。

このことは、下半身の静脈血のように、下から上へ流れなければならない血液にとっては、困ったことです。このとき足を動かすと、筋肉の収縮と弛緩によって、その部分の毛細血管の太さが周期的に変化するので、静脈弁の働きによって、血液は上方に送られていきます。腰をかけているときの貧乏ゆすりには、下半身の血行を促す効果があると考えてよいでしょう。

手を上にあげてこまかく振動させる体操があります。このようにすると、手に分布している血管のなかの血液が遠心効果を表して指先に集まるために、そのあたりの毛細血管が太くなる一方、筋肉の周期的収縮が静脈にポンプ作用をあらわさせるので、手の部分の血行がさかんになります。この体操は、手の部分における物質代謝をとくに激しくする効果があるわけです。

一般に、筋肉に分布する毛細血管は、筋肉がゆるんでいるときには細く、筋肉が収縮しているときには太い。したがって、休んでいる筋肉ではほとんど血行がとまっています。

筋肉ばかりでなく、どんな器官でも、それが働いているときには血管が拡張し、それが休んでいるときには血管が収縮しています。

全身の筋肉を激しく働かせると、物質代謝が高まるので、血行をさかんにしなければなりません。それには、心臓は拍動数を増加するとともに、1回の収縮によって送りだす血液の量を増加すればよいわけです。しかし、スポーツや労働に鍛えられている心臓でなければ、1回の収縮によって送り出す血液の量を増やすことはできません。

どんな心臓でも、その活動には限度があります。すなわち、拍動数が増えるのに、1回の収縮による血液の量が減って、心臓はその負担に耐えられなくなります。

鍛えられた心臓は、重い病気によって循環を激しくする必要に迫られたときにも有利です。

心筋の栄養物質としては、アルコールが最も即効的・効果的ですが、これを常用すると、筋肉組織が脂肪組織に変化するために、心臓の機能が低下します。

心筋の運動は、中枢からの電気信号によって行われます。したがって、その神経の伝導路に外部からの電流が流れると、心筋の秩序ある収縮弛緩が行われなくなるので、心臓は血液を規則正しく流すポンプの役目をしなくなります。これが感電です。

高等動物はみな循環系をもっています。すなわち、体液の回路をもっています。これに対して、植物はどれも循環系をもっていません。したがって、植物体の内部にある液体は、動物の体液とは全く性質が違います。高等植物では、根から吸収されて葉や茎での蒸散におわる導管内の上行の流れと、同化物質を各部へ送る師管内の下行の流れがあるだけで、この二つの流れは回路をつくりません。

この事実は、動物と植物の大きな違いとなっています。


整体院&ピラティススタジオ【Reformer逗子院】
神奈川県逗子市逗子3-2-24 矢部ビル2階
☎︎
050-5884-7793