医学と栄養学

私たちの日常は病気につながっています。一歩を誤れば病人に転落してしまう。

その誤りは多様ですが、最たるものは栄養条件の不備です。その不備を是正し、健康への道を示すのが栄養学です。

そしてその考究をDNAレベルで行うのが分子栄養学です。

ここに不眠を訴える人がいたとしましょう。彼は医師の門を叩いて診断を受け、安定剤をもらうでしょう。それを服用すれば、不完全ながら不眠から脱出することができます。一般に、不眠症は生まれつきの病気ではありません。ある時点で発症するのです。どんな医師も、不眠症の発症以前に不眠症の薬を投与することはないでしょう。安定剤をふくむすべての催眠薬は、不眠の対症療法の手段であって、予防の手段ではないのです。

一般に医薬は、生体にとっては異物であって、生理的物質ではありません。生体内に居住権をもつ物質ではない。したがってそれは、生体内で分解排除される運命をもっています。それは、多かれ少なかれ生体に障害を与えずにはおかないのです。

栄養物質は医薬とは違います。

もしここに、不眠をなおすビタミン・ミネラルがあったとすれば、あらかじめそれを摂取していれば、不眠にならずにすむはずです。それらの栄養素の不足が不眠を招いたのですから、それを補給すればなおるはず、というのが、ここでの論理です。したがって、それは自然治癒として理解されることになります。

栄養素はもともと食品の成分であって、それが生体にとって異物であるはずがありません。

そこで、治癒のための条件と予防のための条件とは、原則として一致します。そこに期待される治癒は自然治癒以外のものではありません。

栄養条件の弱点を補完するためのものは、あくまでも栄養物質であり食品です。カプセル入りであろうと、錠剤の形であろうと、です。