ストレス的観点

精神が肉体にどんな影響を及ぼすかという問題は、昔から論じられてきましたが、その二つのあいだの生理学的関係はなかなかつかめませんでした。これに対して、はじめて筋道のたった研究をおこなったのは、カナダの医学者ハンス=セリエです。

セリエはネズミの脳神経に、さまざまな刺激を与えてみました。すなわち、ひもじい思いをさせたり、極寒を味わわせたり、ホルマリンを吸入させたりなど、際立った悪い生活条件を与えることによって、脳神経に打撃を与えてみました。そして、それによる内臓の変化を調べてみました。
このような苦しみを受けたネズミに起こった異常は、副腎の肥大、胸腺の萎縮、胃腸の潰瘍などでした。刺激が強すぎる場合には、胃の粘膜に出血が見られました。えさの不足も、厳しい寒さも、ホルマリンも、同様の結果を生じたのです。

セリエは、このような一連の肉体的異常をストレスと名付け、ストレスの原因となる刺激をストレッサー(ストレス刺激)と名付けました。

人間の脳神経はネズミよりも高度に発達したものであるため、ストレッサーとなるものが多種多様です。それは、不満・苦悩・怒り・不快など、さまざまな感情を要素とする刺激だと考えてよいです。

ストレッサーはまず間脳を興奮させます。すると、それが脳下垂体への刺激となります。この内分泌腺はこれによって、副腎皮質刺激ホルモンの分泌を高めます。これは、生体の機構からすれば、ストレッサーに対する適応であり、防衛反応です。したがって、ストレッサーの強さが適応の限界を超えなければ、この反応によって生体は防衛され、べつにとりたてるほどの結果は残りません。

問題が起こるのは、ストレッサーが強過ぎたり、長く続き過ぎたりするときです。このようなとき、防衛反応はこれに耐えかねて、副腎の肥大をまねき、ホルモンのアンバランスをあとに残します。これがストレスであり、ストレス症状群として、胃潰瘍・喘息(ぜんそく)・動脈硬化などをあらわすのです。

ストレス的観点では、過度の心労・不快・不満などを病気のもととみることになります。いろいろな宗教が、感謝や満足を説くのは、ストレスを避ける条件を説いていることになるので、その点で意義をみとめないわけにいきません。


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