統合失調症について②

1967年頃から、アメリカでは、統合失調症患者にビタミンCの大量投与を試みる運動が拡がりました。その年、1500名の患者が、ビタミンCを中心とするビタミン大量投与をうけ、そのうち80%に、症状の改善もしくは全快がみられました。この運動はカナダにも拡大し、この治療法を行なっているといいます。ただし残念ながら、日本の精神科医でビタミンに興味をもつ人はほとんどいないようです。

アメリカやカナダがここにくるまでには、多くの臨床実験の積み重ねがありました。ビタミンCと統合失調症との関連を扱った論文は、すでに1938年頃から発表されています。これらの一致した点は、統合失調症患者におけるビタミンCの要求量が異常に高く、血中ビタミンC濃度が異常に低い、という事実にありました。

1966年、統合失調症患者では、ビタミンCの代謝速度が、正常人の10倍にのぼることが発見されています。その実験では、10名の患者に、4時間ごとに6〜8グラムのビタミンCを与えてみました。その結果、全員に症状の改善がみられたといいます。このとき、ビタミンCの一日量は、36〜48グラムにおよんでいます。

ここでクローズアップされる問題は、統合失調症患者において、とくにビタミンCの代謝速度が大きいのはなぜか、ということです。これについては、ホッファーの仮説があります。フランスの作家サルトルが、制作中に幻覚剤メスカリンを使った話は有名ですが、これはサボテンからつくった麻薬で、インディオが、祭りのときに神を見るために使うものだそうです。このメスカリンは、わたしたちの副腎髄質でつくられるアドレナリンに、分子的によく似ています。統合失調症患者では、アドレナリンの代謝が正常でなく、それがメスカリンにもっと近い物質に変化し、特有な症状を起こさせるのではないか、というのがホッファーの発想でした。

アドレナリンの代謝が異常になると、アドレノクロムという、さらにメスカリンに近い物質ができます。ホッファーは、この物質が幻覚剤になることを確認しています。ホッファーの仮説が正しいとすれば、アドレノクロムの産生を抑制することによって、統合失調症は改善されるはずです。そのためには、アドレノクロムの前駆物質であるアドレナリンを、そしてまた、アドレナリンの前駆物質であるノルアドレナリンの産生を抑制すべきであるかもしれません。

統合失調症患者が医師にもらった薬を飲むと、いつも眠そうな顔をしています。それは、覚醒ホルモンであるノルアドレナリンの分泌量が減少したためであって、当然の結果ではありますが、一面、ホッファーの仮説を容認した形となっています。ただし、このときに投与された薬は、いわゆる≪精神安定剤≫の類であって、ビタミンではありません。

ノルアドレナリンやアドレナリンは、≪アミン型ホルモン≫に属し、モノアミン酸化酵素(MAO)によって酸化され失活します。したがって、MAOの活性を高めれば、結局は、アドレノクロムの生成量をカットすることができます。そこで、MAOの補酵素となるナイアシンを投与する方法が、ホッファーによって試みられました。このとき用いられたナイアシンまたはナイアシンアミドの一日量は3〜18グラムでした。ホッファーはこれに、一日量3グラムのビタミンCを加えています。

それによって、アドレナリン・ノルアドレナリン・セロトニンなどの量が抑えられ、さらにアドレノクロムの量も抑えられたのでしょう。なお、ナイアシンはビタミンの仲間ですが、体内でアミノ酸トリプトファンから合成されます。ただし、ビタミンB2とビタミンB6が補酵素として要求されます。

 

 


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