胃酸を抑える薬は有害

年齢を重ねるにつれて、若い頃のように食事が進まなくなった、と感じている人は少なくないのではないでしょうか。昔は肉をたくさん食べることができたのに、最近はどうも胸やけがする、食事の量も全体に少なくなってきた、など。

加齢に伴って体の機能が低下していくのは致し方ないことです。胃も例外ではありません。

しかし、それは年齢だけの問題でしょうか。

胃の不調を訴えて内科で診てもらい、「萎縮性胃炎」と診断された人は少なくないと思います。

これは胃に炎症が起こって粘膜が萎縮し、薄くなっている状態です。胃の動きが悪くなり、胸焼けなどの症状が出てきます。

そして、そのような症状は「逆流性食道炎」と呼ばれます。そこで処方されるのが胃酸を抑える薬です。

整形外科疾患を抱えている多くの方がこの薬を飲んでいます。実はそれが胃の機能低下につながっているのです。

ここで消化のメカニズムについて説明しておきます。

食べ物が入ってくると胃は動き出します。胃酸を出して入ってきたものを消化するわけです。このとき、腸への入口である幽門は閉じられています。出口を閉じた状態で胃酸を分泌して消化を進め、 ドロドロした状態にしてから、幽門を開いて腸に送り出します。送り出すのは消化されたものだけ。未消化のものが残っていればまた幽門を閉じて消化を続け、再び消化されたものだけを幽門を開いて送り出す。

この作業を繰り返すことで、食べたものすべてが消化され、腸に送り込まれるのです。

消化物を受けとった腸は栄養素を吸収します。

ところが、薬で胃酸が抑えられていると、消化作業に支障をきたしますから、未消化のものが腸に送り込まれることになり、腸でも栄養素がうまく吸収されないのです。

また、胃酸には強い殺菌力があって、その殺菌力で病原菌を退治し、腸内環境を整えるという大切な働きがあります。胃酸が出なければ、胃で菌が殺菌されないため腸内環境が悪化し、さらに吸収が悪くなります。

主治医と相談することが必要な方は、可能であれば胃酸を抑える薬を、胃の機能をサポートする消化酵素剤に替えることも考えてみたらいかがでしょう。

それが難しい方は、主治医を替えるという選択肢を考えるべきかもしれません。

胃の動きをよくする漢方薬(六君子湯)と消化酵素剤を出すところもありますが、服用した方は「胸焼けもないし、胃の調子がよくなってたくさん食べられるようになった」といった声を聞きます。

逆流性食道炎によって起こる胸やけやげっぷなどを抑えるのではなく、動きが悪くなってしまった胃の機能を上げたり、萎縮した胃の粘膜を修復していこうと考えるのが栄養療法です。

胃粘膜の修復をする作用を持っているのが、グリシン、グルタミン、ビタミンA、鉄、亜鉛などです。それらの栄養素を的確に摂ることで、粘膜の修復も可能である、と考えられます。

また、吸収効率を高めるという面ではビタミンCが有効です。実は胃酸にはビタミンCが含まれています。カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルは胃酸の力を借りて吸収されるのですが、その吸収を助けてくれるのがビタミンCです。

胃の機能を高めるためにもっとも重要なのが「胃の筋トレ」です。

胃は平滑筋という筋肉でつくられている組織です。そして、筋肉であればトレーニングによって強化できます。

胃の筋トレ法はタンパク質を摂ることです。

消化のメカニズムについては上述しましたが、幽門が閉じるためには高分子の成分が入ってくることが必要なのです。

糖質は低分子ですから、胃は自分の出番ではないと判断して、幽門を閉じずにすぐに腸に送ってしまうのです。

その結果、糖質がどんどん吸収され、高血糖になって体の随所で糖化が起こります。

そうならないためには、高分子であるタンパク質を摂り、幽門を閉じさせて、胃を働かせる、胃の筋肉を動かす、すなわち、胃の筋トレをすることです。

食事のときは、まずタンパク質や食物繊維を含むものを食べる。すると、胃は幽門を閉じてしっかり動きますから、糖質食品を食べる場合はその後にしましょう。

同時に先にあげた粘膜を修復する作用があるグリシン、グルタミン、ビタミンA、鉄、亜鉛などを摂ると、「筋トレ効果」はさらに上がります。


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