信用できない論文

スポンサーは自社に不利になるような研究にお金を出すはずはありません。

自社製品に有利になるような立場で発表する、または、競合他社の製品に不利になるような立場で発表すると思われる研究のみに資金を提供する可能性が高いのは、当たり前のことです。

また、資金提供を受けている研究者は、彼らのスポンサーの経済的利益と一致する方法で仮説を立て、研究をデザインしたり、データを分析する可能性があります。さらにはデータを取捨選択することさえ可能です。

スポンサーまたは研究者は、スポンサーの製品に不利益な影響を与える結果が出た場合、その結果の公表を遅らせるか、公表しないことを選択することでさえできます。不利益なデータを隠し、もう一度デザインをし直して、利益が得られる研究だけを公表することも可能なのです。

そして、あるテーマに関する研究を網羅的にまとめたレビューという論文の著者は、スポンサーの利益と一致する文献を、選択的に検索しそれを解釈してまとめることができます。

これが、EBMの実情です。

エビデンスは本当に信用できるかどうかは非常にグレーです。

一流の医学雑誌に載る論文は、医師の治療選択に大きな影響を与え、それらのデータをベースに、それぞれの学会が治療のガイドラインを作成します。ですから、元の論文の重要性は非常に大きいわけです。

その論文が信用できないのです。

そして、学会の治療ガイドラインを作成するメンバーはその分野の専門家です。しかし、多くのガイドライン作成メンバーには利益相反があります。

これで、本当に正しい治療のガイドラインができるのでしょうか。利益相反がある人がその病気の標準的な治療法を決めていいのでしょうか。

また、ある治療を行ったときに、それが有効であった場合には論文になりやすいです。しかし、うまく効果が認められなかったり、逆に良くない効果が表れた場合には、論文になりにくいという状況がどうしても生まれます。

良い効果の論文が10本出たとして、悪い結果の論文が2本出た場合、それを合わせて統計的な分析をして、果たしてそのデータはエビデンスと言えるのでしょうか。発表されなかった悪いデータがいくつも存在し、それを加えれば、もしかしたら逆の結果が認められる可能性はあります。

そのような状況で、ある治療法の有効性が統計的な分析で正しく判断できるかは非常に微妙な話です。


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