ストレスに対する体の反応

セリエは、その理論によって、医学思想に大きな革命をもたらしました。それは、あらゆる種類の「ストレス」に対して、体は同じ方法で反応する現象を実証したもので、その後の数千もの科学的研究によっても確認されています。

ストレスが加わると、脳底にある小さい腺の脳下垂体(修理グループのボス)が科学メッセンジャーの「ACTH」などの命令ホルモンを分泌して、防御活動を始めます。これらホルモンは血液で運ばれて腎臓の上にある一対の「副腎」に到達し、その皮質部からコルチゾンなどのホルモンを生産させます。その副腎の中心部の髄質ではアドレナリンが生産されますが、ここでは、副腎ホルモンと言えば、主として皮質でつくられるホルモン群を指すものとします。

生体が、何らかの打撃を受けて損傷するのがストレスの「警告反応前期」です。それに対応して副腎ホルモンは、速やかに体に緊急事態と戦う準備をさせます。その作用の一つは、胸腺やリンパ腺からタンパク質を引き抜き、エネルギー源の糖に転化します。
つまり、副腎は「肥大」し、胸腺、リンパ腺は「萎縮」します。ストレスに抵抗して、血糖値は上昇し、さらに残った糖はグリコーゲンとして肝臓に蓄えられます(この多糖類のグリコーゲンも、必要に応じて、すぐ糖に変わります)。
血圧は高くなり、ミネラル類は骨から溶かし出されて血中に出てきますし、貯蔵脂肪を動員するので血中の脂肪量は増えます。
また、食塩と水分が普段よりも血中に多く貯留されるなど、”闘争と逃亡”のための準備が行われます。

これらの変化はまた、体にストックしている諸栄養素を非常の消費に使ってしまうわけで、ストレスの解消、損傷組織の修理をします。
この時期を「警告反応後期」と呼んでいますが、ストレスの度合いにより、その対応の強さも違ってきます。

それでもストレスが続くと、体は「抵抗期」に入ります。この時期には、体は手持ちのすべての原材料で自分の修理再建につとめます。そして、栄養素類は消耗し続けるので、それを補充するために適切な食事(栄養素)を摂れば、ストレスが何年続いても、それによく耐えて、ほとんど害もなく無事に過ごすことができます。
しかし、修理材料の栄養素の補給が消耗に追いつかなければ、そのストレスに対する抵抗力は衰えて、消耗を深める「疲憊期」に入ってしまいます。病気が悪化し続けると、ついには死の危険まで招来するでしょう。

ストレスの初めの二段階では、絶えず損傷と修理の両面が繰り返されるのが特徴で、大抵の病気は修理に成功しなかった第三段階に現れてきます。過酷な外科手術、大きな自動車事故、ひどい火傷のような強烈なストレスでは、わずか一日で警告期、抵抗期、疲憊期の三段階を通過します。そんなに激しくないストレスは、誰でも日常生活の中でよく経験しています。

激しいホルモンの生産では、脳下垂体や副腎は特に疲れやすく、消耗すると生命の危険も迫ってきます。ストレス抵抗ホルモンが分泌されないと、体の損傷は急速に進むからです。そんな破局の迫る以前に、一般には次々に警告期を経験したり、何百という抵抗期をくぐり抜けながら生きていきます。
そして、病気になった時は、ストレスのどの段階にあるにせよ、体の健康を回復するために、それに対抗できる食事計画を実行しなければなりません。

先に述べた通り、ストレスに遭うと、胸腺、リンパ腺からタンパク質が引き抜かれるので、これらの腺は「萎縮」します。さらにストレスが続くと、次には血漿、肝臓、腎臓などのタンパク質まで使われてしまいます。
ストレスで胃潰瘍になりやすいのは、胃酸の分泌が増大するだけでなく、胃壁のタンパク質が奪われることも原因となっています。
潰瘍性大腸炎も、長引くストレスにより、タンパク質が奪われて、腸の内張りが壊れるために起こります。
こんな激しいストレスの時には、わずか一日で牛乳の4.5リットル分ものタンパク質が壊されており、それは尿から排泄される窒素分析でわかります。
したがって、その間に失ったタンパク質を食事で補給しないと、体の損傷は深まっていきます。

ストレスによる体タンパク質の損失と全く同じように、骨に蓄えているカルシウムも失われるので、骨は弱くなります。
その他にも、数多くの破壊的変化が起きます。血圧の上昇だけをとっても、大きな危険に結び付く可能性があります。それをよく知って、自らストレスによる破壊や損傷から体を守る方策を学ばなければなりません。

 

 


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