病院では治らない理由②

《出来高払い制度を見直す》

もう一つの問題は、
現在、医療費の支払いは出来高払いです。つまり、どのような検査を何回したか、どのくらい薬を出したか、注射をしたか、手術をしたか。具体的な医療行為に対してのみ、報酬が得られる制度になっています。

最近では、立派な大病院も経営はなかなか苦しいと聞いています。どこの病院も、競うようにしてMRI・エコーなどの高額な検査機器を導入します。そうした機器がないと患者が集まってこないし、検査料などが高いからです。

こうした機械は日進月歩でどんどんよくなり高くなりますが、そのぶん、医療費は天井知らずで高額になってきます。それを導入した病院は、検査機器の償却のために、軽症な患者にまでこの検査機で検査をして検査料を徴収し、健保組合にも請求し、収入を増やそうとします。

薬や手術にも、同じメカニズムが働いています。できるだけ高くて多くの薬を使い、大手術する医療のほうが報酬が高くなるのです。

公立病院や大学病院は経営重視の医療は行っていないのでは、というのは誤った認識です。これらも、経営が成り立たないと病院は存続できません。過去には国立病院廃止という社会をにぎわした問題も起こりました。

なによりおかしいのは、病人が増え、患者がいつまでも治らずに長く通ってくるほうが、報酬が高くなるということです。優秀な医師が良い治療を行えば、早く完治するはずです。ところが現行の健康保険制度では、そうした医師は収入が減り、病院経営が成り立たないことになるのです。

その結果、予防などは論外となるし、患者が最も望んでいる、早く完治する医療、少ない薬でできるだけ手術をしない、あるいは最小限の手術ですませることとは逆の、拡大医療が行われるわけです。

また、医療のための「診療基準」(マニュアル)があることもおかしいと思います。過剰な治療を防ぐためでしょうが、マニュアルによった治療をすれば支払ってくれますから、同じ病気なら、高額で有利な治療を選ぶことになり、軽い病気も、重症のものと同じような治療を行うことになります。

さらに、マニュアルにない医療は報酬が得られないというのが現実です。マニュアルにない治療をすると支払いが受けられないのです。

たとえば、「変形性膝関節症」のとき、マニュアルは、「正面と横からのレントゲン検査」が示され、治療は、関節内にステロイドホルモン注射(ヒアルロン酸ふくむ)・血管注射・内服薬・患部の温熱照射など、細かな指定があるようです。これ以外の治療には、医療費は支払われません。

整体施術のように指先で触診し歪みを見つけ、手で調整してその歪みを直すとまったく報酬はもらえないのです。

これでは、早く治るよい方法があっても、研究・実行しようという気にはなりません。早く確実に治る治療より、数年も長く通い続けた後に、人工関節の置換手術をするほうがはるかに有利なわけです。これでは、根本治療の研究・進歩は望めません。

医療費の高騰を抑える目的のマニュアルが、逆に、医療費の高騰を招いているのです。それで誰が得をしているか、誰が損をしているかは明らかです。


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