血糖調節ビタミン

血糖値の調節がフィードバックによって行われていることは、いうまでもありません。したがってここには、フィードバックビタミン・ミネラルが並ぶことになります。それは当然のことですので、ここではフィードバックビタミン・ミネラルを特に取り上げず、血糖値に直接関わるビタミン・ミネラルに着目することにします。

アメリカでは、大豆レシチンを糖尿病の薬のようにいう人がいます。理由はわかりませんが、コリンが有効成分であるのかもしれません。

血糖調節ミネラルとしては、三価クロムをおとすことができません。このミネラルは、ナイアシンおよびグルタミン酸、システイン、グリシンと結合して、「耐糖因子」とよばれるものになります。血糖値降下作用を担当するインシュリンは、筋肉組織や脂肪組織の細胞に受容されて初めてその働きをあらわす性質のホルモンですが、おそらく、耐糖因子はそのレセプター(受容体)と関係があります。耐糖因子の投与によって、血糖値は正常化の方向に向かうのです。糖尿病患者はこれを利用して、インシュリンの注射量を減らすことができるのです。注射の必要のなくなったケースも稀ではありません。

膵臓のランゲルハンス島ベータ細胞においてインシュリンは生合成されるのですが、この代謝に亜鉛が不可欠です。したがって、血糖調節ミネラルには、亜鉛が加えられなくてはなりません。

ところが、フィードバックビタミンのうちには、フィードバックに関係しているだけではなく、じかに血糖調節に関係しているものがあります。

糖尿病患者の血液検査の結果を見ると、ビタミンEの濃度が、健常者のそれより低く、過酸化脂質の濃度は健常者より高い。この事実は、ビタミンEの投与が糖尿病を改善する可能性を意味します。イタリアの一医師の報告によれば、インシュリン注射を常用している糖尿病患者に300mgのビタミンEを投与したところ、50%は注射の必要がなくなり、30%は注射量を減らすことができました。残りの20%は好転を見ませんでしたが、これは膵臓に不可逆的な病変がありました。

ビタミンCもフィードバックビタミンの一つですが、それもここでのリストに加えます。その理由は次のとおりです。

血糖値の上昇は食後に著しいのが一般です。これは消化でできた大量のブドウ糖が、一時に腸管から吸収されたためです。この吸収をスローダウンする作用が食物繊維によって行われることは知られていますが、ビタミンCにもあります。ビタミンC欠乏の状態では、腸管におけるブドウ糖の吸収が高速化します。

モルモットを使っての実験では、ビタミンC欠乏食によって、インシュリン分泌を任務とする膵臓のランゲルハンス島に変性が起こります。ビタミンCは、インシュリン合成に関わっているのでしょう。血中ブドウ糖のインシュリンによる処理はグリコーゲンへの変換ですが、この代謝にもビタミンCが関係しているようです。ビタミンC欠乏食によるモルモットの糖尿病はビタミンCでなおります。

    ◉ 血糖調節ビタミンのリスト
→ナイアシン、ビタミンE、ビタミンC

    ◉ 血糖調節ミネラルのリスト
→クロム、亜鉛