アルコールにやられたらどうなるか

大酒を飲むと、二日酔いに見舞われ、あるいは気分が悪くなります。これは急性アルコール中毒とみてよいです。朝から酒が欲しくなり、酒を飲むと仕事がいやになる、物忘れが起きる。こうなれば、慢性アルコール中毒、いわゆる≪アルコール依存症≫の疑いがでてきます。酒を飲まないと手先が震え、幻覚や妄想があらわれ、不眠に悩まされるようになれば、立派なアル中です。日本酒で、1~2合どまりの量にしておけば、アルコール依存症になる心配はないそうです。しかし、それ以上の酒飲みが、すべてアル中になるとは限りません。

アルコールが消化管内にあると、ビタミンB1の吸収が悪くなります。また、ビタミンB1は肝臓でリン酸を結合し、≪リン酸チアミン≫に変身しなければ働きません。ところが、常習的な大酒飲みの肝臓は機能が落ちています。結局、飲酒家の脳はビタミンB1不足になりがちです。それは、脳のエネルギー不足ばかりか、一つの伝達物質不足の恐れを示すものであって、ついには、重大な病気につながります。その名は≪ウェルニッケ脳症≫です。

ウェルニッケ脳症患者は、まっすぐに歩けない。眼球の動きが悪い。作話症・失見当識などの症状がでてきます。作話症とは、無意識にでたらめな話をでっち上げることです。失見当識とは、いろいろな行動で見当違いをやることです。幻覚や妄想もでてきます。

これは脳の話であって、他の部分では、脂肪肝や肝硬変、あるいは循環障害などの症状がでてきます。妊娠中のアルコールも問題です。血中のアルコールは、胎盤を素通りして胎児にゆきます。妊娠第10週以前の飲酒は、胎児の脳の発育を妨げて、知恵遅れの子をつくる恐れがあります。ドイツでは、このような妊婦に対して人工中絶をすすめる学者さえいます。ただし、たまにビール一本程度の飲酒ならば、たいして心配はないそうです。胎児に対するアルコールの作用は、タンパク合成の阻害である、と考えられています。

ラットの実験では、アルコールを飲ませた親から生まれた子の場合、アルコールを飲まない親から生まれた子に比べて、生後1日目でタンパク質が16%、生後5日目でタンパク質が7%、生後10日目で脳重が10%だけ低かった、というデータがあります。

神経伝達物質セロトニンの量は、飲酒ラットの子では異常に多く、生後1日目で24%、30日目で10%と、普通のラットよりも高値でした。胎児におけるアルコールの脳への影響は単純ではありません。胎児性アルコール症という病名さえあるのです。

 

 


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