ナイアシンの不足でどうなるか

ナイアシンは、そのままの形で食品からとれますが、タンパク質を構成するアミノ酸の一つトリプトファンから自前でつくることができます。したがって、タンパク質を十分にとっていれば、ナイアシンの不足はないはずです。ただし、トリプトファンからナイアシンをつくる代謝には、ビタミンB2・B6がなければなりません。

代謝という名の化学反応に酵素がなくてはならず、多くの酵素が補酵素を要求することはご存知の通りです。その補酵素として特別多くの代謝に登場するのがナイアシンです。
ナイアシンの不足は、結局は、低タンパク食からおこるわけですが、これからくる症状は、食欲不振にはじまり、ついで、吐き気や腹痛となります。このとき、下痢と便秘とが交互にやってきます。ひどいと下痢がとまらなくなり、歯肉炎が起き、舌が赤く腫れてついに割れます。口角炎や胃炎も起こります。大腸潰瘍の危険もあります。手や腕の皮膚が、うろこ状にはがれます。

ナイアシンの不足は神経症の原因にもなります。頭痛、健忘症、錯覚、いらいら、不眠、不安感、めまいなどが起こります。これが進行すると、ノイローゼ、発狂というような悲劇も起こりかねません。
1ミリグラムのナイアシンをつくるのに60ミリグラムのトリプトファンがいります。トリプトファンは動物性タンパク質に多いです。
悲惨な病気の一つ精神分裂病が、ナイアシンの大量投与でなおることがあります。この病気も、ナイアシンの不足と関係のあるケースがあります。