果糖・砂糖は身体に良いか

「果糖」というと、果物に含まれる身体に良さそうな糖質というイメージがあります。

しかし本当は違います。

果糖は痛風の原因になったり、AGEsを生成したり、中性脂肪を増やして脂肪肝を誘発したりなど、様々な問題があるのです。

なぜ他の糖質(ブドウ糖など) に比べて、そのような問題があるのでしょうか。

小腸で果糖が吸収されるのは、「受動輸送」によるものです。このときはGLUT5というトランスポーターによって吸収されます。これは水に落としたインクが広がっていくように、自然と濃度の高いものから低いものへ移動していく「拡散輸送」です。この場合、果糖の濃度が高いほうから低いほうにしか移動できません。

ブドウ糖はナトリウム依存性トランスポーターによって「能動輸送」されます。そのため、小腸からの吸収は果糖よりもブドウ糖のほうが早くなります。

さて、問題はここからです。

実はGLUT5というのは、肝臓にしかありません。

つまり果糖はまず肝臓にいかないといけないのです。

では、その後にどうなるか。

エネルギーを産み出す解糖系において、グルコースは「グルコース6リン酸」になります。そして次に「フルクトース6リン酸」になり、さらに「フルクトース1,6ビスリン酸」になります。

ここまでの反応においては、もちろん酵素が使われます。このとき十分にATPがあると、「もうエネルギーを作らなくても良い」とカラダは判断します。そして酵素の働きが悪くなり、解糖系がストップします。

このような働きを「ネガティブフィードバック」と呼びます。

一方で果糖は肝臓に入るとフルクトース1リン酸になり、それがフルクトース1,6ビスリン酸となって、いきなり解糖系に入ることができます。

つまりグルコースはここまで来るのに酵素による調節を受けますが、果糖は酵素による調節を受けないのです。

そのため果糖の解糖系における代謝は歯止めが利かず、すべてアセチルCoAになります。そして余ったアセチルCoAが、中性脂肪を増やすという流れになります。

このように、果糖はいったん吸収されると、グルコースよりも遥かに早く代謝されます。

また肝臓での代謝が主ですので、筋グリコーゲンを増やすこともできません。

さらに果糖はアセチルCoAを増やすだけでなく、脂肪酸合成にかかわる酵素の活性を高めることによっても、中性脂肪を増やしてしまいます。

また特に肝臓での働きが大きいため、脂肪肝になりやすいのです。 

すい臓がんで亡くなったスティーブ・ジョブズが、果物ばかりを食べるダイエットをしていたことは知られています。ベジタリアンの中でも、特に果物を重視する「フルータリアン」だったそうです。

しかし果糖はトランスケトラーゼというペントースリン酸経路(解糖系の側路)で使われる酵素の活性を高め、すい臓がんの増殖を促進してしまうのです。 

また果糖の代謝酵素のフルクトキナーゼには2種類あるのですが、そのうちの一つ、フルクトキナーゼCは肝臓や小腸、腎臓に存在し、果糖との結合性が高いため、急速に代謝されてATPの減少を引き起こします。

それにより、インスリン抵抗性や脂肪肝となり、体脂肪増加の一因となる可能性が指摘されています。 

なお「果糖」という名前だからといって果物だけが悪いわけではなく、むしろ「砂糖」や「果糖ブドウ糖液糖」などの糖類のほうが、はるかに果糖の摂取源として問題になります。

バナナやメロン、イチゴ、パイナップルなど、100gあたりに含まれる果糖の量はせいぜい2g程度。しかしレモネードを100ml飲むと、いきなり20gの果糖を摂取することになります。またケロッグのレーズンブランには100gあたり15gもの果糖が入っています。

なぜそうなるのか、これは「砂糖」がいけないのです。

砂糖は「果糖+ブドウ糖」ですから、砂糖を摂ると果糖も一緒に摂ることになってしまうのです。

さらに悪いのが、「果糖ブドウ糖液糖」。

これは砂糖より安価で、甘みが強いため、清涼飲料水に多く使われます。

ジュースやスポーツドリンクをがぶ飲みしたりするのはNGです。

ラベルをよくチェックしてください。

さらに果糖にはAGEsを作り出すという問題もあります。

「砂糖の摂り過ぎは身体に悪い」、というのは既に一般的な認識といっても間違いではないでしょう。最近の調査でも、砂糖は糖尿病の一因となることがわかっています。 

またNature誌にも、砂糖の問題点(メタボの元凶となり、高血圧の原因となったり肝障害を引き起こしたりするなど)について研究者たちの意見がまとめられています。 

さらにMITのアレックス・シャウス教授によれば、子供たちを砂糖の消費量別に分けて調査したところ、砂糖消費量の一番高かった群は一番低い群に比べてIQが25 %も低かったと報告しています。

同様に、ブリストル大学の研究チームの報告では、甘いものやポテトチップスを食べていた幼児は、将来的にIQが低くなるとのこと。

そして脂肪や砂糖を多く摂取していた3歳の子供は、健康的な食生活の子供に比べて5年後のIQが低くなっていたそうです。

ちなみにカリフォルニア大学による実験ではラットに高果糖食を与え、6週間飼育した実験でも、IQの低下が認められたとのこと。ただし同時にオメガ3脂肪酸を与えると、そのダメージは避けられたそうです。

このように、大量の果糖や砂糖は避けるべきだということは、間違いないといえそうです。

なお他の単糖類としては、ガラクトースも問題となる可能性があります。

体内でうまくグルコースに変換されれば良いのですが、うまくいかないとガラクトースは水晶体に溜まり、白内障の原因になる可能性があるとされています。

1970年の報告ではヨーグルトを与えられた若いラットは2,3ヶ月で白内障になっています。 

もちろんこれは超大量のヨーグルトなので現実的ではありませんが、研究者は「100%の割合でそうなった」と言っており、もっと少ない量なら絶対安全だとは言い切れません。



整体院&ピラティススタジオ【Reformer逗子院】
神奈川県逗子市逗子3-2-24 矢部ビル2階
☎︎
050-5884-7793