腰痛予防のための日常生活動作の注意点

メカニズムを理解して進行と再発を防ぐ

つらい腰痛、なってしまってから対処するよりも初めからならないように予防しておく方が精神的にも楽だと思います。

また、腰痛は再発率の高い疾患としても知られています。一度腰痛になった方も再び腰痛にならないために予防法を知ることは大切です。

座りっぱなしは椎間板に負担をかける

どのように腰痛を予防するのか、一度整形外科にかかった方は医師から指導を受けているかもしれません。しかし腰痛の原因も様々なので、他の部位に負担をかけて別の腰痛を起こしてしまうこともあり得ます。そのため、いくつかの腰痛の原因別に負担のかかる姿勢を紹介します。

椎間板というのは背骨の腰の部分である腰椎の骨の間にあるクッション材です。この部分がつぶれることで後ろに膨らむと、後ろを通っている神経を圧迫して神経痛を起こすヘルニアという病気があります。このヘルニアにならないようにするために、それぞれの姿勢で椎間板にかかるストレスがどのくらい違うのか、医学的に報告されている数値で見てみましょう。

3腰椎にかかる負荷(立位を 100%として)

仰向け:約 30

まっすぐに座った座位姿勢、立位での軽い前かがみ姿勢:約 150

座位での前かがみ姿勢:約 180

このように、座った姿勢での前かがみが一番椎間板に負担となり、ヘルニアを起こしやすい姿勢と考えられます。たとえば事務仕事など一日中座って前かがみ姿勢になる方や、ドライバーの方などは、ヘルニアになる原因が普段の仕事の姿勢という事も十分考えられます。

このような姿勢での椎間板の負担を減らすには、まず姿勢を前かがみにしないという事が大切です。

立位であっても、前かがみになると普通の立位に比べて50%も椎間板の負荷が大きくなります。前かがみにならずに背もたれを使うなど、後ろに重心を置くようにするだけで、力学的には椎間板に負担はかかりづらくなるので、簡単に意識する方法としてはおすすめできます。

ただ、背もたれを使ってばかりいると今度は腰を丸めた姿勢になってしまいます。この、腰を曲げた姿勢もまた椎間板を後ろ側に膨らませる姿勢になるので、さらに注意したい方は腰を反らした姿勢を意識します。反らした姿勢を長く続けるには、股関節や背筋の筋力が必要で、これらの筋肉が弱い方は良い姿勢を長時間続けられなかったり、背筋を使いすぎて筋肉が原因の腰痛になってしまったりします。そのため、腰の後ろに丸めたタオルやクッションを置いて、腰の弯曲を支えてもらうようにすると楽です。

いまは、腰の後ろに置くクッション(背もたれにゴムを引っかけて固定するタイプ)などもインターネットで売られています。すでにヘルニアと診断されている方や、座位姿勢が多い方は参考にしてみてください。

下から物を持ち挙げる動作は呼吸と姿勢と物との距離に注意

下から物を持ち挙げる動作も、立位での前かがみ姿勢でただでさえ椎間板に負担のかかる姿勢から腰の筋肉を使って力を入れるので、筋肉の腰痛も起こしやすく非常にリスクの高い姿勢になります。このような場合は、呼吸にまず気を付けると良いでしょう。呼吸は力を入れる瞬間は基本的には吐いて腹筋に自然に力が入るようにした方が腰は楽になります。

腰をコルセットのように巻いているインナーマッスルの腹横筋と言う腹筋があり、この筋肉は息を吐いておなかをへこました時に力が入ります。また、重量挙げのトレーニングをしている方などは下からバーベルを持ち上げる動作で必ず腰を曲げないように注意をしています。腰を曲げて重いものを持つことがヘルニアの原因になることを知っているからです。やや上を向いて顔をあげ、腰がもともとの正常な弯曲である反った状態になるように意識するようにして腰を伸ばしていきます。

また、このようなスポーツ選手は腰にベルトを巻いて腰の安定性を高めています。腰椎コルセットなどは市販でもありますし、日常生活や仕事で重いものを持ち挙げる動作を行う方は、いま腰痛がなくてもベルトを使って腰を守るようにすると、仕事による腰の疲れも楽になりますし予防にもなるのでおすすめです。

しゃがみ動作は腰椎椎間板に負担をかける

自宅の庭での草取りなど、ずっとしゃがんでいる動作も腰を曲げた姿勢で椎間板に負担がかかりやすい姿勢です。草取りなどは 1時間くらい続ける方もいますから、同じ動作でずっと行った後に腰を伸ばしていたいという状態になります。このような痛みが出やすい方は、腰を曲げすぎないように片膝を着く姿勢に戻るなどの工夫をしたり、少し合間に腰を伸ばして椎間板に継続して負担をかけないようにしたりすることが予防になります。

小さな椅子を使うという方もいますが、椅子に座って手を地面へ伸ばす姿勢ではやはり腰は丸く曲がる状態になるので、膝を曲げていたい方は椅子が適していますが膝よりは腰が気になる方は椅子よりも他の方法で姿勢を変えた方が良いです。

ひねる動作は腰椎の関節面に負担がかかる、スポーツ選手は疲労骨折にも注意

腰の骨である腰椎には関節面が他の背中や首の関節とは構造が違うという特徴があります。それは、関節の面の角度が違うという事で、首や背中は関節の面が水平に近いので横に回す動きが出やすいのですが、腰だけはまっすぐに縦の面になっているので回す動きよりも縦に屈伸する動きに適した構造になっています。

数値的に考えても、腰椎は全部で5 つあるのですが、 5つの腰椎全体でもたったの 5度しか回旋する動きは出ません。これだけ回す動きが苦手な関節なので、腰を捻る動きをすると当然ながら関節や骨に無理がかかります。腰に無理な動きをくり返すことによって腰椎の骨の一部が折れてしまう疾患があり、腰を反らす動きや回す動きで腰痛が生じます。これを腰椎分離症と言って、スポーツ選手に多い腰の骨の疲労骨折です。野球選手でボールを投げる瞬間やバットを振る瞬間など、腰に動きが生じる瞬間に痛みが出て、日常生活動作では痛みが出ないこともあります。

このようなスポーツ動作に関連する腰痛予防の場合、その部分に負担がかからないように他の関節で動きを吸収するようにします。例えば、身体を回す動作であれば肩甲骨や股関節の柔軟性をアップして、腰を中心ではなく股関節を軸に回す動きを身体に覚え込ませるようにしていきます。もともと股関節が硬くて腰を捻り過ぎる動きになっていたというケースもありますから、それぞれ個人の身体の動きの弱点を補強することで腰の疲労骨折を防ぐこともできます。スポーツのパフォーマンスアップに繋がることも多いので、腰痛予防の動きをそのままトレーニングとして活かすこともできます。

脊柱管狭窄症の病名を言われている方は腰を反らさない方が楽になる

坐骨神経痛があり、病院などで脊柱管狭窄症という病名を言われている方の場合には症状に合わせた対応が必要です。この疾患では、腰を丸めることによって神経の通り道が広がるので症状が楽になります。椎間板ヘルニアとは真逆で、腰を反らしてしまうとつらくなるので、例えば洗濯物を上に持ち上げて干すなどの腰を反らす動作はどうしても症状がひどくなります。

この場合は、物干しを行う位置を下にするなど、生活の動作を変えるように工夫してください。また、続けて歩くと脚が動かしづらくなるという症状もあるので、腰を曲げながら移動できる自転車を使うというのも一つの工夫です。

腰痛予防の動作の注意はそれぞれの関節や筋肉をイメージして

このように、腰痛予防はそれぞれ原因部分によって気を付けるポイントが違います。どんな目的で腰痛予防をするかによって自分の身体の動かし方は変わってきますから、診断を受けている方は診断名から、特に病院にかかっていない方は自分の腰の痛みの部分や特徴からどう注意すれば良いかを選んでください。


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